Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 甲状腺
その他

(S660)

甲状腺実質の微小血流描出の試み

Microvascular Imaging of Thyroid Gland

重田 真幸, 貴田岡 正史

Masayuki SHIGETA, Masafumi KITAOKA

公立昭和病院内分泌代謝内科

Division of Endocrinology and Metabolism, Showa General Hospital

キーワード :

【背景】
甲状腺は表在に存在する内分泌臓器であり超音波検査で得られる情報量は多い.甲状腺機能と実質血流は密接な関係が認められ,病態の評価に極めて有用である.軽症甲状腺中毒症を呈した場合,鑑別すべき疾患としてバセドウ病初期,無痛性甲状腺炎,機能性結節があげられる.この中で無痛性甲状腺炎の占める割合は10から30%程度とされバセドウ病についで頻度が高い.バセドウ病と無痛性甲状腺炎は臨床経過と治療の要否が異なることから的確な鑑別診断が必須となる.この両者の鑑別に超音波造影法による鑑別診断の有用性は既に報告した.しかし現在臨床的に使用可能な超音波造影剤の効能効果に甲状腺は残念ながら含まれていない.最近,motion artifactを効率的に微小血流と分別することによりその描出能を高めたSuperb Microvascular Imaging(SMI)の手法が臨床的に応用されつつある.この手法を用いると超音波造影剤を使用することなく微細な血流の評価が可能である.
【目的】
バセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別診断おけるSMIによる微小血流評価の臨床的有用性を検討する.
【対象および方法】
健常者,バセドウ病,無痛性甲状腺炎それぞれ5例を対象とし,両側上甲状腺動脈の平均流速を測定後,SMIを用いて甲状腺実質局所の微小血流評価を行った.
【結果】
健常者でSMIは実質内の微小血流の描出が十分可能であった.バセドウ病では実質内の血流が全体的に増強するが,従来法に比してより微細な血流まで評価可能であった.一方,無痛性甲状腺炎では破壊巣の無血管野を的確に評価することができた.
【考案】
超音波造影法は血流評価に極めて有用であるが,コストと手技の煩雑さから,一般的な超音波検査とは一線を画する手法といえる.SMIはルーチン検査の延長線上に位置しながら,従来描出不能であった微細血流の評価が可能であった.甲状腺領域においてその臨床的有用性は高いといえる.