Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 甲状腺
その他

(S659)

甲状腺原発の粘表皮癌の1例

Case report:Sclerosing mucoepidermoid carcinoma with eosinophilia of thyroid

佐々木 栄司1, 國井 葉2, 北川 亘3, 伊藤 公一4

Eiji SASAKI1, You KUNII2, Wataru KITAGAWA3, Kouiti ITO4

1伊藤病院診療技術部臨床検査室, 2伊藤病院診療部内科, 3伊藤病院診療部外科, 4伊藤病院診療部外科

1Clinical Laboratory, Ito Hospital, 2Internal Medicine, Ito Hospital, 3Surgery, Ito Hospital, 4Surgery, Ito Hospital

キーワード :

【はじめに】
粘表皮癌の発生部位としては唾液腺や,気道の線毛円柱上皮に覆われた領域の外分泌腺,子宮頸部などがあげられる.とくに耳下腺に多く,小唾液腺では40%は口蓋に生ずる.好発年齢は30歳から40歳でやや女性に多い.10歳以下の発生は稀である.今回,甲状腺原発の粘表皮癌を経験したので報告する.
【症例】
52歳 女性 当院にて慢性甲状腺炎の経過観察中のエコー検査にて甲状腺内に腫瘤を確認した.既往歴:特記すべきものはない.
【超音波所見】
腫瘍径が30mm大の形状やや不整,境界不明瞭,粗雑,内部エコーは低から等で不均質,境界部低エコー帯は整,微細高エコーは認めなかった.
【細胞診所見】
シート状から乳頭状の異型細胞集塊が多く悪性腫瘍割合からも第1に乳頭癌を考えた.
しかし,核不整が強く背景も通常の乳頭癌よりも汚いことから分化型ではなく,扁平上皮癌もしくは低分化癌への転化を示唆する所見もあると考えられた.粘液成分はみられなかった.
【病理組織所見】
比較的に明瞭な結節性病変でリンパ球浸潤,好酸球浸潤,線維化を伴いながら重層扁平上皮様細胞が不規則な小胞巣を形成し増生している.一部に粘液を貯めた腺腔構造や粘液産生の細胞質の明るい細胞が認められた.腫瘍は甲状腺内に限局していた.
【まとめ】
甲状腺原発の粘表皮癌は極めて稀であり,その超音波所見は,内部エコーが低く病理組織像を反映し腫瘤は境界が不明瞭であった.細胞診では低分化型乳頭癌や扁平上皮癌への転化を考えたが,粘表皮癌と診断は出来なかった.