Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 乳腺
造影・Vascularity2

(S654)

当院における乳腺造影検査:3D review画像による病変全体の観察を中心に

Breast contrast-enhanced US:our experience with emphasis on 3D review image

渡部 多佳子1, 石田 秀明1, 小松田 広美1, 宮内 孝治2, 稲葉 亨3, 鎌田 収一3, 長沼 裕子4, 大山 葉子5, 井鳥 杏菜6, 大野 長行7

Takako WATANABE1, Hideaki ISHIDA1, Hiromi KOMATSUDA1, Kouji MIYAUCHI2, Toru INABA3, Syuuichi KAMADA3, Hiroko NAGANUMA4, Yoko OHYAMA5, Anna ITORI6, Nagayuki OHNO7

1秋田赤十字病院超音波センター, 2秋田赤十字病院放射線科, 3秋田赤十字病院外科, 4市立横手病院内科, 5秋田組合総合病院臨床検査科, 6東芝メディカルシステムズ株式会社営業本部超音波営業部アプリケーション, 7GEヘルスケア・ジャパン株式会社超音波担当

1Department of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital, 2Department of Radiology, Akita Red Cross Hospital, 3Department of Surgery, Akita Red Cross Hospital, 4Department of Internal Medicine, Yokote Municipal Hospital, 5Department of Medical Laboratory, Akita Kumiai General Hospital, 6Department of Ultrasound Sales Devision, Toshiba Medical Systems Corporation, 7Department of Ultrasound Sales Devision, GE Healthcare Japan Corporation

キーワード :

乳腺腫瘍を対象とした造影超音波検査が2012年末に保険適応された.しかし,当初考えられたほどこの検査が普及していないのが事実である.その要因として,a)従来乳腺超音波検査を担当していた外科医や超音波検査技師は造影超音波検査の経験が乏しいことが多い,b)これまでの造影超音波検査の適応は肝腫瘍に限定されていたため,消化器内科医が造影超音波検査を試行することが多かった.しかし,消化器内科医は乳腺超音波検査の経験が乏しいことが多い,など,乳腺造影超音波検査を責任持って試行するシステムを組めない状態であった.これは当院でも同じであったが,乳腺造影超音波検査を持続的に可能にするため2013年8月から下記の手順で行っている.この様な各施設の経験と工夫などを提示しあうことが新しい検査法の出発点としては意味があると思い報告する.特に3Dプローブを用いたreview画像(以下,3D review)の有用性を中心に検討した.
【使用診断装置】
東芝社製:AplioXG,500,GE社製:LOGIQ E9,日立アロカ社製:Ascendus,Preilus.超音波造影剤はソナゾイド(第一三共社)を用い,通常の乳腺腫瘍の(推奨)造影方法に準じた.なお,今回用いた3Dプローブは,東芝社製(外形:73.7×59.6mm,周波数7−14MHz),GE社製(外形:52.0×57.0mm,周波数6−16MHz).
【当院における乳腺造影検査の手順】
乳腺外科医から造影超音波検査のあった症例に関し,依頼内容を踏まえながら,a)乳腺全体を造影超音波担当医(HI,HN)が高周波プローブで丁寧に観察する,b)病変部とその近傍を3D reviewでチェックを繰り返す,(これで全体像が把握できた後),c)病変部とその近傍をカラードプラ(FFT波形を加えでチェックする,d)病変部とその近傍の造影超音波検査を試行する.この流れで,乳癌22例(26-79歳,平均57.6歳)(右7左15:A領域6,B領域4,C領域12,D領域8,E領域1,単病変17,多発5)を検査し3D reviewの有用性を検討した.
【結果】
1)乳腺の形状から1例,位置から(乳頭近傍)1例で不十分な観察で終わったが,20例では3D reviewは病変全体の把握を助け,カラードプラや造影超音波検査の位置決定に有用であった.2)特に形状が不正な病変や多発病変の全体像の把握に有用であった.
【まとめと考察】
当院における乳腺造影超音波検査の現状について,特に造影部の決定のための3D reviewの有用性について検討した.3D reviewはプローブ位置を固定したまま,短時間に等間隔の多数枚の画像を自動的に提示する利点があり手技習得のトレーニングも不要である.一方,造影超音波検査は経験無しにすぐできる検査ではないため各施設で(それまで)肝腫瘍の造影超音波検査を手がけてきた検査試行医(または試行技師)のスキルを利用するのが現実的と思われる.これまでの経験から病変部全体を把握さえすれば造影超音波検査のタイミングや検査条件(M.I値,焦点位置,など)をミス無く遂行できるからである.そのためには,a)乳腺超音波検査の経験豊かな医師(または技師が)乳腺造影超音波検査のときside-by-side teachingする,または,b)オリエンテーションを容易にするツールを加味する,などが考えられるが,今回我々が行ったのはb)に沿ったもので,これからの乳腺造影超音波検査のあり方を考える上で有用なものと思われる.