Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 乳腺
造影・Vascularity2

(S653)

当院における乳腺造影超音波検査の現状

Clinical experience of contrast-enhanced ultrasonography of mammary gland

今吉 由美1, 橋本 智子1, 辻 望1, 髙木 優1, 亀井 桂太郎2

Yumi IMAYOSHI1, Satoko HASHIMOTO1, Nozomi TSUJI1, Yu TAKAGI1, Keitaro KAMEI2

1大垣市民病院形態診断室, 2大垣市民病院乳腺外科

1Department of Clinical Research, Ogaki Municipal Hospital, 2Department of Breast surgery, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【はじめに】
当院では2012年12月より,Prosoundα7(日立アロカメディカル社製)を用いて乳腺造影超音波検査を行っている.当初は乳癌症例に対し施行していたが,その後さまざまな症例を重ね1年が経過したので現状を報告する.
【対象】
2012年12月から2013年11月までに,38例の乳腺造影超音波検査を経験した.組織型の内訳は,浸潤性乳管癌28例(乳頭腺管癌8例,充実腺管癌2例,硬癌18例),浸潤性小葉癌,非浸潤性乳管癌各2例,粘液癌,アポクリン癌,乳管内乳頭腫,乳腺症各1例,不明2例であった.
検査目的の内訳は,病変の染影の評価15例,広がり診断21例,術前治療効果判定2例,second look USとして3例,穿刺の補助目的として行ったものが3例であった.
【造影超音波検査が有用であった症例】
<症例1>59歳女性.非浸潤性乳管癌で右乳房部分切除後,7年経過時に,右乳房の術創部近傍に低エコー腫瘤が出現.MRIで造影されなかったが,造影超音波検査を行ったところ強く造影されたため針生検を施行した.組織診断は乳頭腺管癌であった.MRIではUSと別の部位を見ている可能性もありうるが,造影超音波検査ではBモードUS時に指摘した病変が造影されるかどうかがわかり有用である.<症例2>76歳女性.右乳房に30×25×19mmの分葉状の嚢胞を認め,内部に充実部の存在が疑われた.MRIで明らかな造影部分を認めないため造影超音波検査を施行.嚢胞のくびれ部分と嚢胞壁の一部に強い染影を認めた.同部位から穿刺吸引細胞診を行うも判定困難,摘出生検となった.造影超音波検査は病理診断目的で穿刺を行う際の補助となりうると考える.
【造影超音波検査の位置づけ】
造影超音波検査が優れている点は,リアルタイム性,簡便性,分解能の良さ,検査時の体位が穿刺や手術時と同じであることがあげられる.当院において造影超音波検査を行う目的として,MRIで造影される病変の今後の方針決定に有用であると考える.second look US時に,その病変が造影超音波検査で同定できれば,穿刺を行い診断することも可能となる.広がり診断としては,腫瘍の周囲組織への浸潤や広範囲な乳管内進展などの判定に有用である.
【結語】
MRIであまり造影されない病変,あるいは造影される病変の今後の方針決定,穿刺部位決定など穿刺における補助的な使い方が,当院においては造影超音波検査の使用目的として有用であった.今後は,Bモードで良悪鑑別が困難である小病変の,造影超音波の鑑別ポイントを検討していきたい.