辻 望¹, 高木 優¹, 今吉 由美¹, 橋本 智子¹, 高田 彩永¹, 乙部 克彦¹, 川地 俊明¹, 亀井 桂太郎³, 熊田 卓², 安田 鋭介⁴

Nozomi TSUJI¹, Yu TAKAGI¹, Yumi IMAYOSHI¹, Satoko HASHIMOTO¹, Ayae TAKADA¹, Katsuhiko OTOBE¹, Toshiaki KAWACHI¹, Keitaro KAMEI³, Takashi KUMADA², Eisuke YASUDA⁴

¹大垣市民病院形態診断室, ²大垣市民病院消化器内科, ³大垣市民病院外科, ⁴鈴鹿医療科学大学保健衛生学部放射線技術科学科

¹Department of Clinical Research, Ogaki Municipal Hospital, ²Department of Gastroenterology, Ogaki Municipal Hospital, ³Department of Surgery, Ogaki Municipal Hospital, ⁴Department of Radiological science, Suzuka Univercity of Medical Science

キーワード :

【目的】
近年，エラストグラフィが多くの超音波診断装置に搭載されている．なかでもShearWave Elastography（以下SWE）は，異なる深度にフォーカスされた超音波ビームを体内に送信し，組織を上下に振動させその時に発生するshear wave（せん断弾性波）の伝播速度から組織弾性を算出する方法で，簡便で再現性が高く定量化が可能という特徴を有している．
乳腺領域においてもSWEが認知されつつあり，定量値だけでなくカラーマップを用いた視覚的評価をパターン分類することが可能であることが報告されている（亀田総合病院の戸崎ら）．今回われわれは，視覚的評価に加え，腫瘤辺縁と脂肪組織の弾性値の比から鑑別の有用性を検討したので報告する．
【方法】
対象は，2013年6月から2013年11月までにSWEを施行した乳腺腫瘤59例．平均年齢53歳，良性29例，悪性30例．1．視覚的評価（パターン分類）および2．腫瘤辺縁と脂肪組織の弾性値の比を計測した．
【結果】
1.良性29例中24例はパターン1もしくは2であった．悪性は30例中30例がパターン3もしくは4であった．感度100％，特異度83％，陽性反応的中度は86％であった．
2.腫瘤辺縁と脂肪組織の弾性値の比は，良性のものは1.9であったのに対し，悪性は17.8と高値を示した．
【考察】
今回の検討では，パターン分類，腫瘤辺縁と脂肪組織の弾性値の比ともに有用性が示唆された．今後は症例数を増やし，病理組織と対比しつつ，組織型による弾性値の差など検討が必要と考える．