Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 乳腺
elastography

(S650)

腫瘤像非形成性病変を示す非浸潤性乳管癌における超音波エラストグラフィ所見の検討

Ultrasound elastographic evaluation of a non-mass abnormality in Ductal carcinoma in situ of the breast

野竹 文章1, 林 光弘2, 佐久間 敦子1, 樋口 清孝4, 永吉 眞智子1, 新田 忠弘1, 岡田 真弓1, 藤原 邦夫1, 芹澤 博美3

Fumiaki NOTAKE1, Mitsuhiro HAYSHI2, Atsuko SAKUMA1, Kiyotaka HIGUCHI4, Machiko NAGAYOSHI1, Tadahiro NITTA1, Mayumi OKADA1, Kunio FUJIWARA1, Hiromi SERIZAWA3

1東京医科大学八王子医療センター放射線部, 2東京医科大学八王子医療センター乳腺科, 3東京医科大学八王子医療センター病理診断部, 4国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科

1Department of Radiology, Tokyo Medical University Hachioji Medical Center, 2Department of Breast oncology, Tokyo Medical University Hachioji Medical Center, 3Department of Pathology, Tokyo Medical University Hachioji Medical Center, 4Medical and Welfare Studies, International University of Health and Welfare Graduate School

キーワード :

【目的】
非浸潤性乳管癌(DCIS)の中で腫瘤像非形成性像を示す病変は低いツクバスコア(スコア)示す傾向にある.その要因は病変部における癌細胞密度が低い為である.と仮定し病理組織画像を定量的に解析する.そして,腫瘤像非形成性病変像を示すDCISの特徴所見を検出する.
【対象】
2012年1月から2013年8月の期間に,術前にエラストグラフィを含めた超音波検査を行い,外科的に切除され病理組織学的にDCISと確定診断を得た18例を対象とした.なお,マンモトーム施行症例に関してはエラストグラフィを含めた画像診断に影響を与えると考えられた症例は対象外とした.また,前医での切開生検例はなかった.
【方法】
病理組織像を用い,病変部における乳管内の癌細胞面積を計算し病変部の癌細胞密度を算出した.同様に病変部における乳管内の非癌部の面積を算出し管腔密度とした.算出した各密度とスコアとを統計学的に検討した.次に,腫瘤像非形成性病変と腫瘤像形成性病変との間の癌細胞密度の差を比較検討した.そして,正常な乳腺と腫瘤像非形成性病変像を示すDCISとのエラストグラフィの分布を検討した.
【結果】
癌細胞密度とスコアとの間にはSpearmanの順位相関係数r=0.81,P<0.01と有意な相関そ認めた.管腔密度とスコアとの間にはr=0.30,P>0.05と相関関係を認めなっかた.腫瘤像非形成病変と腫瘤像形成性病変に癌細胞密度の有意な差を認め腫瘤像非形成性病変は癌細胞密度が低かった.Mann-Whitney U検定P<0.01.次に,正常乳腺と腫瘤像非形成性病変像を示すDCISとの間には乳腺内の豹紋状の等エコーにエラストグラフィの分布に違いを認め,正常乳腺では,赤,または緑を示したが,DCISでは一部に青を認めた.
【考察】
DCISでは癌細胞密度とスコアとの間には有意な相関を認め,癌細胞密度がスコアの差に関与する要因であることが示唆された.その中で,腫瘤像非形成性病変は癌細胞密度がより低いことが示された.次に,腫瘤像非形成性病変像を示すDCISでは豹紋状の等エコーにエラストグラフィで青を認める場合にはDCISを疑う所見である可能性が示唆された.しかし,今回は悪性ではない乳管内の増殖性病変との比較検討はしていないため,この所見の中に良性が含まれる可能性はあると考える.ただし,豹紋状の等エコーすべての部分で赤を示しマンモグラフィで悪性を疑う石灰化を認めない場合には経過観察としても良いのでないかと考える.
【結論】
①癌細胞密度はDCISのスコアと有意な相関があり癌細胞密度が低いとスコアも低いことが示された.②腫瘤像非形成性病変はDCISの中でも低い癌細胞密度を示した.③豹紋状の等エコーがエラストグラフィで青を示す場合には慎重に扱う必要がある.しかしすべてで赤を示した場合は良性の可能性が示唆された.また,今回は症例数18と少ないため今後症例数を増やし,良性症例との比較検討が必要であると考える.