Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 乳腺
症例3(・DCIS等)/新技術

(S650)

HIFU治療評価に向けた3次元リアルタイム温度計測ファントムの開発

Development of 3D real-time temperature measurement phantom for HIFU treatment

岩橋 利英1, 射谷 和徳2, 藤原 圭祐2, 東 隆1, 葭仲 潔3, 佐々木 明4, 高木 周4, 松本 洋一郎4, 佐久間 一郎5

Toshihide IWAHASHI1, Kazunori ITANI2, Keisuke FUJIWARA2, Takashi AZUMA1, Kiyoshi YOSHINAKA3, Akira SASAKI4, Syu TAKAGI4, Yoichiro MATSUMOTO4, Ichiro SAKUMA5

1東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻, 2日立アロカメディカル株式会社第2メディカルシステム技術本部, 3産業技術総合研究所ヒューマンライフテクノロジー研究部門治療支援技術グループ, 4東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻, 5東京大学大学院工学系研究科精密工学専攻

1Department of Bioengineering, school of Engineering, The University of Tokyo, 2Medical System Engineering Division 2, Hitachi Aloka Medical,Ltd, 3Surgical Assist Tech Group,Human Technology Research Institute, Advance Industrial Science and Technology, 4Department of Mechanical Engineering, school of Engineering, The University of Tokyo, 5Department of Precision Engineering, school of Engineering, The University of Tokyo

キーワード :

HIFU(High Intensity Focused Ultrasound)とは,球面上に並んだトランスデゥーサから発生する超音波をその中心で集束させ,焦点付近で発生する大きなエネルギーにより,焦点以外を傷つけることなく焦点付近の温度をわずか数秒で30〜60℃上昇させ,体内の組織を加熱凝固させる治療のことである.HIFU治療には様々な課題がある.まず,腫瘍に対して焦点域が小さいため,腫瘍を焦点域が満たすように焦点の位置を変えながら治療を行う必要がある.このため,腫瘍の抽出・焦点位置の検出・治療効果の観察などの治療と融合する診断技術の開発が必要となる.また,この際皮膚表面での温度上昇を防ぐために各照射の間に冷却時間を設ける必要があり,治療時間の増大につながる.以上のように,HIFU治療では温度制御が重要であり,温度制御手法の確立を目的としてファントムを用いた温度分布可視化計測の検討が行われてきた.先行研究では,熱電対・赤外線カメラ・非イオン性界面活性剤・感温液晶シートなどを用いた実験が行われているが,それぞれ温度分布の計測が困難・表面温度の計測であるため内部温度の計測は困難・閾値を超えているかどうかの2値的な計測である・ある断面のみの観察であるためリアルタイムに3次元温度計測が困難であるといった欠点がある.臨床ではMRIを用いた温度計測が行われているが,温度変化の観察であるため体動に弱いといった欠点があり,超音波画像ガイドHIFUのようなMRIを用いないHIFU装置にとっては,ファントム計測のためのみにMRIを用いるのは現実的ではない.本研究では,生体を模擬する材料に感温液晶の粒子を混ぜた3次元リアルタイム温度計測ファントムの開発を行う.感温液晶はその温度に応じて選択的に光を反射する直径30μm程のカイラルネマティック液晶などを含んだカプセル(日本カプセルプロダクツ製)である.これを無色透明な材料に少量(0.02%)混ぜ,ライトシートを当てると光の当たった断面の温度を計測することができる.ライトシートの当て方により,任意断面の観察が可能となる.図はHIFUを照射した様子である.発色温度範囲15-25℃の感温液晶を使用している.周波数は1.5MHzである.ライトシートの厚みは約5mmである.ゲルの音速は1390m/sである.温度が上がるにつれ,反射する光の波長は短くなるため,低温側は赤色・高温側は青色になる.焦点付近に発色がないのは,発色温度範囲より高温になっているためと考えられる.