Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 乳腺
症例3(・DCIS等)/新技術

(S647)

乳癌における乳管内進展の超音波所見について

Intraductal spread of breast cancer,evaluation with ultrasonography

原 由起子, 櫻井 健一, 水沢 容子, 松本 京子, 和賀 瑛子, 萩原 美桜, 前田 哲代, 平野 智寛, 榎本 克久, 天野 定雄

Yukiko HARA, Kenichi SAKURAI, Youko MIZUSAWA, Kyouko MATSUMOTO, Eiko WAGA, Mio HAGIWARA, Tetsuyo MAEDA, Tomohiro HIRANO, Katsuhisa ENOMOTO, Sadao AMANO

日本大学医学部小児乳腺内分泌外科学分野

Division of Breast and Endcrine Surgery, Dept. of Surgery, Nihon University School of Medicine

キーワード :

【目的】
術前の超音波検査所見と術後の病理組織学的な乳管内進展をどの程度反映しているか検討し,乳房温存手術を行う際の乳管内進展診断における超音波検査の意義の検討を目的とした.
【方法】
2013年1月から2013年7月までに当科にて手術を施行した3cm以下の浸潤性乳癌症例54例中,超音波で主腫瘤を同定し得た47例を対象とした.超音波検査で主腫瘍から広がる管状や豹紋状の低エコー域,主腫瘍と低エコー域で連続している小腫瘤を乳管内進展の所見とした.超音波所見,病理組織学的所見のどちらにおいても,浸潤部をこえて乳頭側に乳管内進展が1.5cm以上認められたものを乳管内進展ありとした.
【結果】
平均年齢は57.6±14.9歳,全例女性であった.超音波で乳管内進展ありと判断した症例は47例中15例,そのうち病理組織学的検査で乳管内進展があった症例は13例であった.超音波で乳管内進展ありと判断したが,実際には乳管内進展を認められなかった症例が2例存在した.病理組織学的検査で乳管内進展があった症例は47例中22例であり,そのうち超音波で乳管内進展ありと判断できなかった症例が9例存在した.超音波で乳管内進展ありと判断できなかった9症例のうち,マンモグラフィー検査で乳管内進展を疑う所見がみられた症例は2例,造影MRI検査で乳管内進展を疑う所見がみられた症例は6例であった.マンモグラフィー検査と造影MRI検査共に乳管内進展を疑うことのできなかった症例が3例であった.乳管内進展の診断における超音波検査の感度は59%,特異度は92%であった.
【考察】
超音波所見は乳癌の乳管内進展を予測するうえで有用な検査と思われるが,感度はBモードのみでは59%にとどまり,他の検査と総合的に判断する必要があると考えられた.しかし,カラードップラー法やエラストグラフィー検査を追加することにより超音波検査でより確実に乳管内進展を診断できる可能性もあり,されなる検討が必要と考えられた.
【結語】
術前の超音波検査所見と術後の病理組織学的な乳管内進展を比較し検討した.