Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 乳腺
症例1

(S641)

浸潤性乳癌症例における病理学的特徴と腫瘍倍加時間との関連について

Pathological features correlate with tumor doubling time of invasive breast cancer

横溝 十誠1, 橋本 秀行2, 宮内 充3, 川上 義弘1

Jissei YOKOMIZO1, Hideyuki HASHIMOTO2, Mitsuru MIYAUCHI3, Yoshihiro KAWAKAMI1

1川上診療所乳腺科, 2ちば県民保健予防財団乳腺科, 3ブレストサービス株式会社乳腺科

1Department of Breast Oncology, Kawakami Breast Thyroid Clinic, 2Department of Breast Screening, Chiba Foundation for Health Promotion & Disease Prevention, 3Department of Breast Oncology, Breast Service Co

キーワード :

【背景】
乳癌の腫瘍倍加時間(DT; doubling time)はおよそ100から200日前後といわれている.浸潤性乳癌における組織型やホルモン受容体およびHER2タンパクの発現状況などの病理学的特徴とその腫瘍の増大速度との関連を調べるため,超音波検査上の腫瘍径から算出されたDTを用いて検討した.
【対象と方法】
1999年7月から2012年9月までの間に当診療所で診断された浸潤性乳癌症例のうち,間隔をあけて2回以上超音波検査を受けた44症例を対象とした.病理学的所見として,組織型,組織学的グレード,ER,PgR,HER2について評価した.ER・PgRについてはどちらかが陽性のものをHR陽性,どちらも陰性のものをHR陰性とした.HER2については3+および2+かつFISH陽性をHER2陽性,それ以外をHER2陰性とした.腫瘍体積の計測には,超音波検査上の腫瘍最大径と,これに直交する断面の最大径,さらに最大径面における高さを使用した.最終検査時とその前検査時の各腫瘍径から腫瘍体積を算出し,DT= t×ln2/ln(V2/V1)(t:検査間隔,V1:前検査時の腫瘍体積,V2:最終検査時の腫瘍体積)の計算式からDTを算出した.前検査時に対象病変を認めなかった9症例については,超音波検査の検出限界を5 mmと考え,各腫瘍径をそれぞれ5mmとして計算した.
【結果】
平均年齢は49.8歳,平均DTは240日,組織型については乳頭腺管癌20例(45%),充実腺管癌8例(18%),硬癌13例(30%),特殊型3例(7%)であった.組織学的グレードについてはグレード1および2が25例(57%),グレード3が12例(27%),不明が7例(16%)であった.またHR陽性が31例(70.5%),HER2陽性が10例(22.7%)であった.平均のDTに関して,グレード1および2の症例はグレード3の症例に比べ有意にDTが長かった(それぞれ281と132日,p=0.01).HR陰性群において,DTは年齢と強い相関を認めた(Rs=0.54,p=0.02).
【まとめ】
病理学的悪性度が高い症例やHR陰性の若年者ほど乳癌の進行が速い可能性が示唆された.