田中 和東, 松木 厚, 工藤 貴子, 三田 育子, 西本 幸代, 中村 博昭, 中本 收

Kazuharu TANAKA, Atsushi MATSUKI, Takako KUDO, Ikuko MITA, Sachiyo NISHIMOTO, Hiroaki NAKAMURA, Osamu NAKAMOTO

大阪市立総合医療センター周産期センター産科

Obstetrics, Maternal and Perinatal Care Center, Osaka City General Hospital

キーワード :

【目的】
3次元超音波診断装置では体積の測定が可能で，power Doppler法を併用することで，血流の数値化が可能である．今回我々は妊娠初期における子宮，胎児頭部，胎児体部，胎児，胎嚢及び絨毛膜有毛部もしくは胎盤について3次元超音波検査を用いて，子宮動脈血流との関連性を検討した．
【方法】
2011年9月から2012年6月までに当院を受診した単胎妊婦48例を対象とした．年齢は18歳から46歳（中央値：30歳），施行時期は妊娠8週から妊娠17週（中央値：妊娠12.5週）で，1回から5回（中央値：2回）検査を施行した．Voluson E8 Expert及びRM6Cプローブ（2-6MHz）を用いpower Doppler法併用下に3次元超音波検査後データ保存し，VOCAL（Virtual Organ Computer-Aided Analysis）を用いて，体積，VI（Vascularization Index）及びFI（Flow Index）を算出した．両側子宮動脈PI（Pulsatility Index）の平均値と子宮，胎嚢，胎児頭部，胎児体部，胎児，及び絨毛膜有毛部もしくは胎盤における，体積，VI及びFIについて回帰分析を行った．
【成績】
子宮動脈PIと体積の検討では，子宮（相関係数：r=0.55），胎嚢（r=0.55），胎児頭部（r=0.50），胎児体部（r=0.54），胎児（r=0.54），及び絨毛膜有毛部もしくは胎盤（r=0.55）で相関（p＜0.0001）を認めた．子宮動脈PIとVIでは子宮（r=0.51）及び胎嚢（r=0.50）で相関（p＜0.0001）を認めた．子宮動脈PIとFIでは子宮（r=0.55），胎嚢（r=0.45），胎児頭部（r=0.19），胎児体部（r=0.33），胎児（r=0.34）及び絨毛膜有毛部もしくは胎盤（r=0.35）で相関（p＜0.05）を認めた．
【結論】
子宮動脈PIは，妊娠初期における全測定項目の体積と関連しており，血液が供給される臓器体積の増加にともなって，子宮動脈血流が増加していることが示唆された．また子宮動脈PIは，子宮および胎嚢におけるVI及びFIと関連しており，子宮動脈血流増加が直接供給臓器の血流増加に寄与し，3次元超音波検査にてその現象が測定可能であることが示唆された．