Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 産婦人科
婦人科疾患

(S632)

子宮内膜・筋層病変評価における腔内超音波の利用

clinical application of intrauterine sonography for endometrial and uterine myometrial disease

清水 華子, 石川 哲也, 島田 佳苗, 三村 貴志, 飯塚 千祥, 宮本 真豪, 森岡 幹, 市塚 清健, 関沢 明彦

Hanako SHIMIZU, Tetsuya ISHIKAWA, Kanae SHIMADA, Takashi MIMURA, Chiaki IITSUKA, Shingo MIYAMOTO, Miki MORIOKA, Kiyotake ICHIDUKA, Akihiko SEKIZAWA

昭和大学産婦人科学教室

Obstetrics and Gynecology, Showa Univ.

キーワード :

【目的】
子宮体部筋層病変の評価は,経腟超音波・経腹超音波・MRIを用いて施行されるが腫瘍の好発部位である子宮内腔側から評価を行なう方法は確立されたものがない.子宮内腔側より体部筋層病変の評価が直接可能となれば子宮内膜癌の筋層浸潤の評価や,粘膜下筋腫の評価,子宮内膜アブレーション時の筋層全周にわたる漿膜までの深さ方向の評価が可能となり診断精度の向上につながる可能性がある.本研究は超音波断層法で子宮内腔側からの子宮体部病変および筋層の観察の有用性を評価することを目的とした.
【対象および方法】
子宮内膜癌で子宮全摘を施行された症例,子宮鏡下子宮筋腫核出術を施行した症例の腔内占拠病変を,ラジアルプローブ体腔内用探触子,EUP−R54AW−19,10〜5MHz(中心周波数:7.5MHz)(日立アロカ社製)を用いて腔内病変の評価を施行した.
【結果】
子宮内膜癌症例では術前MRI検査にて筋層浸潤1/2以上と評価された症例において超音波検査を施行.12時から3時方向に病変と考えられる低エコー領域を認め最も深い浸潤で5mm,内膜から漿膜面までは2cmであり筋層浸潤は1/2以下と判断.術後の病理診断でも筋層浸潤は1/2以下であった.
子宮鏡下筋腫核出術施行例では,Bモードで7時方向に2cm大の低エコー領域を認めた.カラードプラ法では腫瘍周辺を囲む様に血流を認めた.ソノヒステログラフィーによる観察では突出率の悪い粘膜下筋腫である事が解った.術前のMRI検査では突出率の高い粘膜下筋腫であると判断したが子宮鏡の所見では突出率が悪く,超音波検査画像と一致した.また,筋腫核出後に再度検査を施行したところ病変部の低エコー領域は消失し筋腫が完全に核出された事がわかった.
【考察】
子宮内膜癌においては筋層浸潤の評価に優れている可能性が示唆され,術中迅速病理診断の代用となる可能性も考えられる.子宮鏡下粘膜下筋腫核出術においては筋腫の大きさの評価だけに限らず,突出率の悪い筋腫の正確な位置の把握も可能となる.この超音波検査では内膜面から漿膜面までの距離が正確に垂直方向に測定出来るため,筋層の厚さの評価が可能と考えられる.これは,子宮内膜アブレーションを施行する際,安全性を確保するため漿膜面まで1cmという距離を確保するにあたって有用であると考えられた.
【結論】
子宮腔内超音波評価は子宮内膜・筋層内病変の評価に有用であり,婦人科診療において様々な場面で臨床応用出来ると考えられた.