Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 産婦人科
婦人科疾患

(S631)

HDliveによる付属器腫瘍の観察

HDlive rendering image of adnexal tumors

真嶋 允人, 伊藤 恵, 西澤 知佳, 新田 絵美子, 森 信博, 花岡 有為子, 金西 賢治, 田中 宏和, 秦 利之

Masato MASHIMA, Megumi ITOU, Chika NISHIZAWA, Emiko NITTA, Nobuhiro MORI, Uiko HANAOKA, Kenji KANENISHI, Hirokazu TANAKA, Toshiyuki HATA

香川大学医学部附属病院周産期科女性診療科

Department of Perinatology and Gynecology, Kagawa University School of Medicine

キーワード :

【目的】
HDliveを用いて得られた付属器腫瘍の超音波画像について報告する.
【方法】
当科において,HDliveを用いて11例の付属器腫瘍(単純性嚢胞,巨大卵巣嚢腫,チョコレート腫瘍,良性嚢胞性奇形腫,漿液性嚢胞腺線維腫,粘液性腺線維腫それぞれ1例ずつ,卵巣癌5例)の評価を行った.単純性嚢胞の1例を除いて,すべて手術を行い病理組織診断が得られている.
【結果】

【症例1】
42歳 単純性嚢胞:平滑な腫瘍壁の内面が描出された.
【症例2】
35歳 巨大卵巣嚢腫:平滑ながらやや起伏のある腫瘍壁が描出された.
【症例3】
25歳 チョコレート嚢腫:多数の小さな突起を持った平滑な腫瘍壁が明瞭に観察された.
【症例4】
73歳 良性嚢胞性奇形腫:腫瘍内部の表面平滑なhair ballを認めた.
【症例5】
39歳 漿液性嚢胞腺線維腫:腫瘍壁に平滑な充実性の突起を認め,比較的平滑な隔壁も描出された.
【症例6】
66歳 粘液性腺線維腫:内部に多数の嚢胞を伴う,やや平滑な充実部分が認められたが,悪性との鑑別は困難と思われた.
【症例7】
46歳 粘液性腺癌 Ⅰc期:14cm大の嚢胞の一部に不整形な隔壁と充実部分が認められた.
【症例8】
45歳 粘液性腺癌 Ⅰc期:嚢胞内に広くcysticな充実部分を認め,ドップラーでは内部に豊富な血流が見られた.
【症例9】
64歳 漿液性腺癌 Ⅰa期:不整形な乳頭状充実部分が腫瘍内部に多数認められた.
【症例10】
51歳 混合癌 Ⅲc期:多数の不整形な乳頭状突起と肥厚した隔壁がみられた.
【症例11】
65歳 漿液性腺癌 Ⅰc期:腫瘍の一部に著明な壁肥厚を認め,多数の不整形な乳頭状突起も認めた.
【結論】
付属器腫瘍のHDliveによる観察で,いずれの腫瘍もそれぞれ肉眼所見とほぼ同様な所見が認められた.良性腫瘍では一般に腫瘍壁や隔壁の表面は整であるが,卵巣癌においては腫瘍壁からの多数の不整形な乳頭状突起や,厚く不整形な隔壁などが特徴的であった.粘液性腫瘍では,良性と悪性との鑑別が困難であるように思われた.HDliveで付属器腫瘍の腫瘍壁内面を描出することにより,術前評価において有用な所見を得られる可能性が示された.付属器腫瘍の診断に対するHDliveの有用性について今後さらなる検討が必要である.