Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児異常(2)

(S630)

HDliveを用いた胎児異常例における顔面の観察

HDlive imaging of the face of abnormal fetuses

植松 理奈, 花岡 有為子, 天雲 千晶, 伊藤 恵, 新田 絵美子, 森 信博, 金西 賢治, 田中 宏和, 秦 利之

Rina UEMATSU, Uiko HANAOKA, Chiaki TENKUMO, Megumi ITOU, Emiko NITTA, Nobuhiro MORI, Kenji KANENISHI, Hirokazu TANAKA, Toshiyuki HATA

香川大学医学部周産期学婦人科学

Department of Perinatology and Gynecology, Kagawa University School of Medicine

キーワード :

【目的】
中枢神経系異常を伴う胎児顔面の異常や,外表奇形を伴う新生児疾患は致死性疾患なども数多くあり,生後早期に管理を必要とする場合が少なくない.特に胎児の表情の評価は中枢神経との関連も示唆されており,その観察は重要である.このような観察には従来,2次元超音波(2D法),3次元超音波(3D法)が使用されてきたが,近年超音波技術の発達により新しい診断法が登場してきた.
HDliveは360度から照射できる仮想光源により,画像の凹凸がはっきりと描出できるため,従来の2D法,3D法に比してより鮮明にしかも写真のように画像表示できる描出法である.
今回我々は,種々の胎児異常例に対し,HDliveを用いて胎児顔面の観察を行い,従来の超音波では評価が困難であった小さな異常の評価が可能であるかどうかについて検討した.
【対象および方法】
VolsonE8(GE Healthcare Japan)を使用し,2D法,および3D法を実施した後,HDliveによる観察を行った.妊娠16週から32週までの胎児異常例は,Trisomy 13 1例,Trisomy 18 3例,Trisomy 21 3例,Cyclopia and Proboscis 1例,Osteogenesis imperfecta 1例,Thanatophoric dysplasia 1例,Roberts syndrome 1例,Fetal hydrop 1例の12例である.
【結果】
今回の12症例における胎児顔面の所見について,3D法とHDliveで比較検討した結果をTable1に示す.HDliveを用いることで,3D法に比較して胎児の顔面がより明瞭に描出されることが確認された.特に,Cyclopia and Proboscisでは,3D法で不明瞭であった両眼融合,Trisomy 13では口唇口蓋裂などの詳細な構造がはっきりと描出された.また,Fetal hydropsにおいても,透過性のある皮下浮腫がより鮮明に抽出された.Trisomy 21の1例ではHDliveを用いることによりUpward slanting eyesが明瞭に抽出できた.
【結論】
従来の3D法では不明瞭であった胎児の顔面の凹凸が,HDliveを用いることにより,より明瞭に抽出することが可能となった.特に眼裂が明瞭に抽出できることが明らかとなった.
今後,画質の向上や簡便な操作法により,従来の3D法よりもHDliveを用いることで,胎児異常のより詳細な観察が可能となり,胎児異常の出生前診断に新たな情報を提供してくれることが期待される.