Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児付属物/妊娠子宮

(S626)

膀胱下端を基準として妊娠子宮における内子宮口を決定できる

The edge of bladder can be a landmark for determing the internal os of the pregnant uterus

倉員 正光

Masamitsu KURAKAZU

福岡大学産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Fukuoka University

キーワード :

【目的】
胎盤位置異常症例において内子宮口(internal os: IO)の同定は,重要である.本研究では,頸管腺領域(cervical gland area: CGA)と膀胱下端との位置関係から,CGAを同定することなくIOを決定することを目的とした.
【方法】
2011年1月から2012年12月の間,当院において妊娠15-36週で,母体胎児合併症のない単胎妊婦155人,のべ354回計測を対象とした.妊婦に対し排尿後仰臥位とし,経腟超音波断層装置(Aloka社製prosound 6,経腟プローブの中心周波数:7.5MHz)を用いて,子宮頸管を矢状断で描出した.一旦静止画像として取り込み,1)CGA遠位端-外子宮口の距離(CGA長),2)頸管長(CL),3)膀胱下端から頸管に沿って垂線を下ろし,その部位と外子宮口との距離(膀胱下端-外子宮口間距離)をoff-lineで計測した.CGA長と妊娠週数との相関はSpearmanの順位相関解析を用いて統計解析を行い,P<0.05を有意とした.
【結果】
妊婦155人は,初産婦が78人,経産婦が77人.のべ370回計測中,頸管長<25mm,あるいはCGAが明瞭に描出されていなかった82計測を除外した.年齢は31.9±2.83.歳(mean±SD),範囲20-46歳.観察時の妊娠週数は27.9±5.8週(mean±SD).1)CGA長は,中央値:33mm,範囲:25-48mm,2)CLは中央値41mm,範囲:27-67mm,3)膀胱子宮窩-IO距離は中央値:28 mm,範囲:23-45 mmであった.Spearmanの順位相関係数は,妊娠週数とCGA長は0.2612,妊娠数週とCLは0.3978,CGAと膀胱子宮窩-外子宮口間距離は0.9089であった.CGA長は妊娠中期から後期にかけて妊娠週数によらず一定であり,IOは膀胱子宮窩近傍の内側(中央値:4 mm,範囲:0-9 mm)に位置していた.
【結論】
CGA遠位端と膀胱反転部の高さはほぼ一致することがわかった.このことから,膀胱反転部の位置が内子宮口を示す指標となり得ることが分かった.CGAが不明瞭な症例においても,膀胱子宮窩と頸管を基準とすることは,IOの同定に有用な指標となると考えられた.