Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 産婦人科
経会陰走査

(S620)

経会陰超音波による回旋異常症例での児頭下降の観察

Intrapartum translabial ultrasound and evaluation of fetal head descent in labor with abnormal position

坂巻 健, 樋口 紗恵子, 後藤 美希, 手塚 真紀, 小林 浩一

Ken SAKAMAKI, Saeko HIGUCHI, Miki GOTO, Maki TEZUKA, Koichi KOBAYASHI

社会保険中央総合病院産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Social Insurance Chuo General Hospital

キーワード :

【はじめに】
近年,分娩中に経会陰超音波を行うことで,分娩の進行を評価したり,より安全な分娩管理に役立てようという試みが報告されている.当院でも2008年から分娩中の経会陰超音波を行ってきたが,2012年1月からは産婦が分娩室に入室する際に助産師がルチーンで経会陰超音波検査を行うようにしている.今回我々は分娩室での経会陰超音波データを解析し,分娩進行に伴う児頭の下降の様子を回旋異常の有無で比較し,検討したので報告する.
【対象と方法】
2012年の1年間で277例に分娩室で経会陰超音波が行われ,このうち解析可能な画像データが保存されており,経腟分娩となった238例を対象とした.238例中回旋異常は7例で,前方前頭位または後方後頭位であった.GEヘルスケア社製の超音波診断装置に搭載されているSonoVCAD(Sonography based Volume Computer Aided Diagnosis)Labor機能を用いてProgression Angle(°), Progression Distance(mm), Head Direction(°), Midline(°)の4つのパラメータをそれぞれ計測し,回旋異常のある群とない群で比較した.
【結果】
横軸にProgression Angle(°),縦軸にHead Direction(°)をとりグラフにすると,回旋異常のある群とない群ともにProgression Angleが大きくなるにつれてHead Directionも大きくなる傾向が見られた.しかし,回旋異常のある群では回旋異常のない群に比べ,同じくらいのProgression AngleでもHead Directionが小さい値をとる傾向があった.
【考察】
Progression Angleは恥骨と児頭が描出される矢状断面において,恥骨下縁から児頭に引いた接線と恥骨に水平な線とのなす角度で,児頭の下降を評価するうえで最も良い指標とされている.Head Directionは児頭の先進する方向を示し,第3回旋の指標となる.今回の検討では,回旋異常のある群では児頭が下降していても児頭の先進する方向がなかなか出向部の方に向いてこない傾向が見られた.これは,反屈して嵌入してくる前方前頭位で特にイメージされやすいと考える.分娩中の経会陰超音波は分娩の進行を評価するだけでなく,今までに確立されてきた分娩の生理を検証するツールとして役立つ可能性があると考えた.