Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児心臓・循環

(S616)

Twin Reversed Arterial Perfusion sequenceへの胎児鏡下レーザー凝固術の検討

The study of FLP for Twin Reversed Arterial Perfusion sequence

鷹野 真由実3, 中田 雅彦1, 村田 晋2

Mayumi TAKANO3, Masahiko NAKATA1, Susumu MURATA2

1川崎医科大学産婦人科学2, 2山口大学産婦人科, 3綜合病院社会保険徳山中央病院産婦人科

1Obsterics, Kawasaki Medical School, 2Obsterics, Yamaguchi University, 3Obsterics, Tokuyamachuou Hospital

キーワード :

【目的】
一絨毛膜双胎の合併症の一つであるTwin Reversed Arterial Perfusion sequence(TRAP)に対する予後改善を目的とした胎児治療の一つである胎児鏡下レーザー血流遮断術の有効性と合併症について検討した.
【方法】
2010から2013年に治療を施行した8例を対象とし,手術操作や周産期予後を後方視的に検討した.尚,同治療は当院倫理委員会にて承認の上,患者からの書面によるインフォームドコンセントを得た上で施行した.
【結果】
血流遮断は平均22.3週(19-27週)に施行した.7例は2羊膜性で,内1例は胎児鏡にて自然羊膜破綻による物理的一羊膜であることを術中に確認した.残りの1例は1羊膜性であった.全例ポンプ児羊水腔に胎児鏡を挿入し,吻合血管もしくは無心体児の臍帯を凝固し血流遮断を行った.1羊膜性となった2例に血流遮断に加え臍帯巻絡予防目的に臍帯切断を行った.2羊膜の一例が術後6週時点での自然羊膜破綻後の臍帯巻絡による胎児機能不全で妊娠25週に緊急帝王切開に至り,2例がそれぞれ32週,35週に前期破水に至った.分娩週数は25-42週であり平均分娩週数は35週であった.ポンプ児の胎児死亡および新生児死亡はなく,全例生存している.新生児合併症は動脈管開存症が1例,三尖弁閉鎖不全が1例,心房中隔欠損と心室中隔欠損が1例,鎖肛と心室中隔欠損が1例だった.
【結論】
TRAPに対する胎児鏡下レーザー血流遮断は有効な治療法だった.内視鏡下に直接子宮内が視認できることが特長で,特に一羊膜性では臍帯切断が施行可能であることが利点と思われた.また,今回8例中3例(37.5%)のポンプ児に心奇形を合併しておりTRAPではポンプ児の心奇形の合併の頻度が高い可能性が示唆された.