Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児心臓・循環

(S615)

Dual Dopplerを使った胎児右心室の等容収縮時間および等容拡張時間の測定

Gestational-age-adjusted reference values for the ICT, IRT and Tei index for evaluation of fetal right cardiac function

加地 剛1, 前田 和寿2, 高橋 洋平1, 中山 聡一朗1, 苛原 稔1

Takashi KAJI1, Kazuhisa MAEDA2, Youhei TAKAHASHI1, Soichiro NAKAYAMA1, Minoru IRAHARA1

1徳島大学病院周産母子センター, 2独立行政法人国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター産婦人科

1Obstetrics and Gynecology, Tokushima Universiy Hospital, 2Obstetrics and Gynecology, Shikoku Medical Center for Children and Adults

キーワード :

【目的】
近年心機能における右室の重要性が認識され,右室機能評価が注目されている.特に胎児の右室は,左室とともに体循環を担っていることや心拍出量が左室より多いことなどから,重要視されている.一方等容収縮時間(ICT)は収縮能,等容拡張時間(IRT)は拡張能を表す心機能の指標であり,胎児においても超音波Doppler法を用いて左室のICT・IRTは測定されている.しかしながら右室では流入路と流出路が離れているため,従来のDoppler法ではICTおよびIRTは測定できなかった.今回離れた2カ所の同時血流測定が可能なdual Dopplerを使って胎児右室のICTおよびIRTの測定し,正常値の作成を行った
【方法】
2012年11月〜2013年5月までの間に,妊娠18週〜40週の正常胎児103例を対象と測定を行った.超音波B modeにて右室流入路と右室流出路を一画面に描出した後,dual Dopplerを用いて流入血流と流出血流を同時に記録した.流入血流の終了から流出血流の開始までの時間をICT,流出血流の終了から流入血流の開始までの時間をIRTとして測定した.また得られたIRT,ICTと駆出時間から同一心拍におけるTei indexを算出した.また左室のICT,IRT,Tei indexも通常のパルスドプラ(単一サンプルゲート)にて測定を行った.
【結果】
右室のICT・IRTはともに妊娠週数とともに増加した(ICT:y = 0.8045x + 12.763 r = 0.1499 IRT: y = 0.809x + 17.192 r = 0.2086).また同一心拍の右室Tei indexも妊娠週数とともに微増した(y = 0.0098x + 0.1671 r = 0.2393).また右室同様,左室のICT,IRTは妊娠週数とともに増加し,Tei indexは微増した.
【結論】
Dual Dopplerを用いることで胎児右室のICT・IRTおよび同一心拍におけるTei indexの測定が可能であった.右室のICT,IRTは妊娠週数とともに増加することが判明した.右室のICT,IRTの測定は収縮能・拡張能を別々に評価できる新しい右室の心機能評価方法として期待される.