Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児心臓・循環

(S614)

胎児外来および胎児遠隔診断支援システムにおける産科医による胎児心疾患診断の意義

Diagnostic value of fetal cardiac disease by obstetrician at the fetal outpatient clinic and fetal telemedicine supporting system

藤澤 秀年, 藁谷 深洋子, 安尾 忠浩, 岩佐 弘一, 岩破 一博, 北脇 城

Hidetoshi FUJISAWA, Miyoko WARATANI, Tadahiro YASUO, Kouichi IWASA, Kazuhiro IWASAKU, Jo KITAWAKI

京都府立医科大学産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Kyoto Prefectural University of Medicine

キーワード :

【目的】
胎児心臓の診断を小児循環器科が主導する施設が多い中,当科での産科医が担当する胎児外来とデジタルネットワークを利用した胎児遠隔診断支援システムにおける胎児心疾患診断の意義と現況について報告する.
【対象】
2010年1月より2013年11月までに胎児外来を受診した1152例のうち照会初診症例は396例であった.府内の遠隔地にある関連6病院の産科の診察室にある超音波装置からデジタルネットワークを通じて当科の胎児遠隔診断画像解析装置に心STICデータを転送,解析する胎児遠隔診断支援システムは2009年11月に開始し,2013年11月まで180例の照会を受けた.
【方法】
胎児遠隔診断支援システムは筆頭演者の産科医が胎児遠隔診断画像解析装置に転送された心STICを再生して様々な機能を用いて診断,解析した.照会元で心異常がみつかっていなくても心STICデータを転送した.胎児外来は照会理由にかかかわらず心臓,中枢神経他全部位の精査を行った.胎児外来および胎児遠隔診断支援システムにおいて照会理由,および診断が心疾患であった症例について検討した.
胎児外来への照会理由のうち心臓の異常は182例(46.0%),そのうち胎児外来で出生後小児循環器科による管理が必要な重篤な心構築異常と診断し得たのは125例(68.7%)で,最終的に判明した正診率は100%であった.胎児遠隔診断支援システムでは照会理由の130例(74%)はFGRで心異常は2例のみであった.照会理由がFGRを含む心外異常であったもののうち心異常と診断し得たのは13例で,円錘動脈管奇形群は9例であった.胎児外来のスクリーニング749例中診断し得た心異常は,三尖弁閉鎖,動脈管早期閉鎖など13例で,正診率は100%であった.照会理由が心外異常の205例のうち45例を心異常と診断した.胎児外来で診断された心異常計182例のうち57例(31.3%)は心異常を疑われていなかった.35週以降の症例は31霊(13.4%)で24週未満の症例は(11.7%)であった.
【結論】
胎児外来と胎児遠隔診断支援システムともに,心異常を疑われていなかった多くの症例から心異常が診断された.他院の産科医から照会されるFGRや心外異常の症例は心異常を合併することが多く,また診断および管理に緊急性を要する35週以降や当施設で産科が担う24週の症例も少なからずあり熟練した産科医による胎児外来の意義は高く,その経験の蓄積が胎児遠隔診断支援システムの精度の向上に寄与しているといえる.