Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児心臓・循環

(S614)

胎児先天性心疾患と胎児染色体異常の検討

Fetal congenital heart disease and chromosomal abnormality

三好 剛一, 小西 博巳, 根木 玲子, 吉松 淳

Takekazu MIYOSHI, Hiromi KONISHI, Reiko NEKI, Jun YOSHIMATSU

国立循環器病研究センター周産期・婦人科

Department of Perinatology and Gynecology, National Cerebral and Cardiovascular Center

キーワード :

【はじめに】
新しい出生前検査である無侵襲的出生前遺伝学的検査(non-invasive prenatal genetic testing:NIPT)を国内に導入するに当たり,適切な遺伝カウンセリングによって情報提供できる検査体制を構築することを目的として,現在臨床研究が進行中である.当院も倫理委員会の承認を得て,胎児先天性心疾患(CHD)を対象に含み,本臨床試験に参加している.
【目的】
胎児CHDと染色体異常との関連を明らかにすること.
【方法】
2007年〜2011年に当院で周産期管理を行なった単胎CHD 154例(CHD群),および同期間におけるCHDを伴わない単胎948例(非CHD群)と染色体異常との関連を後方視的に比較検討した.解析にはStudent-t検定,カイ2乗検定を用いた.
【結果】
年齢,初産婦,体外受精の有無,出生週数および出生体重に差は認めなかったが,胎児発育不全(29%vs 18%)および染色体異常(14%vs 1%)はCHD群で有意に高かった.CHDを心房内臓逆位症候群(9例),左心低形成症候群(17例),右心低形成疾患(22例),二心室を有するチアノーゼ性心疾患(59例),非チアノーゼ性心疾患(47例)の5群に分類すると,染色体異常はそれぞれ1例(11%),1例(6%),0例,13例(22%),6例(13%)であった.二心室を有するチアノーゼ性心疾患では,両大血管右室起始症で13trisomyが1例,18trisomyが4例,ファロー四徴症で21trisomyが6例であり,そのうち6例(55%)が35歳未満であった.非チアノーゼ性心疾患では,心房心室中隔欠損症で13trisomyが1例,21trisomyが5例であり,そのうち3例(50%)が35歳未満であった.
【考察】
胎児CHDでは非CHDと比べ,年齢の因子を除外しても染色体異常が有意に高率であった.従来の報告通り,両大血管右室起始症と13・18trisomy,ファロー四徴症・心房心室中隔欠損症と21trisomyが強く関連していたが,一方で,それらの約半数は35歳未満であった.
【結論】
胎児CHDでは既報のごとく年齢に関係なく染色体異常を有する率が多かった.現在,臨床研究として行なわれているNIPTは羊水検査を減らせることが想定される.また,染色体異常を考慮したCHDの治療戦略は児の予後の改善に寄与すると考えられる.本臨床研究を通してその可能性を検証したい.