Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
その他2

(S608)

EUSにて詳細に観察し診断し得た後腹膜原発性腺外胚細胞腫瘍の1例

Retroperitoneal extragnadal germ cell tumor examined in datail and diagnosed by EUS-FNA

肱岡 範1, 原 和生1, 丹羽 康正2, 山雄 健次1

Susumu HIJIOKA1, Kazuo HARA1, Yasumasa NIWA2, Kenji YAMAO1

1愛知県がんセンター中央病院消化器内科, 2愛知県がんセンター中央病院内視鏡部

1Gastroenterology, Aichi Cancer Center Hospital, 2Endoscopy, Aichi Cancer Center Hospital

キーワード :

症例は28歳男性.201×年11月に下腹部痛と38.2度の発熱で近医を受診.単純CTを施行し十二指腸水平脚の背側,腹部大動脈の左側に約30mm大の後腹膜腫瘍を認め紹介となった.
EUSを行ったところ,大動脈周囲に最大30mm径の腫瘍以外に4個の5mm〜10mm径の腫瘍性病変を認めた.最大の腫瘍はほぼhomogenousであったが,一部の腫瘍はheterogenousで造影EUSでは同部の腫瘍はaechoic areaを認めた.精巣腫瘍,パラガングリオーマの鑑別のためMIBGシンチ,精巣USおよびMRIを施行したがすべて陰性であった.またAFP,HCG-βも正常値であり,血中および尿中カテコラミンも正常であった.
FDG-PETでは後腹膜腫瘍以外に集積は認めなかった.この精査中に再度,腹痛所見を認め,腹部USを行うと,homogenousであった最大径の腫瘍が高低エコーの混合パターンを呈しており,腫瘍内出血と考えられた.
以上より精巣腫瘍,パラガングリオーマは否定的であり,EUS-FNAの施行は安全性に問題なしと判断し201×年1月にEUS-FNAを施行した.最大の腫瘍は腹痛を境にEUSはhomogenousからheterogenousに変化していた.同部に対して22GにてEUS-FNAを施行した.この結果,壊死物質やリンパ球に混じて,円形核を有する異型細胞を多数認める.免疫染色にてPLAP(+),OCT-4(+),SALL(+)であり,後腹膜原発性腺外胚細胞腫瘍(seminoma)と診断した.BEP療法による化学療法を施行中である.
後腹膜原発性腺外胚細胞腫瘍の超音波所見,EUS-FNAによる報告はこれまで1例しか報告されておらず
貴重な症例であり発表する.