Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
肝臓5

(S598)

肝内脂肪蓄積量の定量化におけるCAP(controlled attenuation parameter)の有用性

CAP(controlled attenuation parameter)as estimation for hepatic fat deposition

荒井 邦明, 堀井 里和, 北原 征明, 砂子阪 肇, 山下 竜也, 金子 周一

Kuniaki ARAI, Rika HORII, Masaaki KITAHARA, Hajime SUNAGOZAKA, Tatsuya YAMASHITA, Syuichi KANEKO

金沢大学附属病院消化器内科

Gastroenterology, Kanazawa University Hospital

キーワード :

【目的】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD),非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の診断,治療において,脂肪化,肝線維化を正確に評価することは,治療対象,肝細胞癌サーベイランス対象を設定する上で重要である.肝内の脂肪蓄積に関する評価をより客観的,定量的に行う方法としてFibroscanに搭載されたControlled Attenuation Parameter(CAP)があり,肝弾性度と同時に測定できることから注目を集めている.今回FibroscanでのCAP測定により,肝内脂肪蓄積量の定量化が可能か,単純CTによる肝臓と脾臓のCT値比(L/S比)とも比較し,検討した.
【方法】
対象は2013年1月から10月にかけて,Fibroscan 502(Echosens)にてCAPを施行した299症例中,同時期に肝生検を施行した170例である.同時期に単純CTを施行した147例ではL/S比も測定し,比較検討した.男/女101 / 69例,HBV / HCV / NAFLD(NASH含む)29 / 48 / 50例,線維化F0 / 1 / 2 / 3 / 4は17 / 47 / 24 / 37 / 45例,脂肪化S0 / 1 / 2 / 3は76 / 72 / 14 / 8例であった.
【成績】
Success rateは92±22%(9-100%),CAP IQR / med.は18±13%(0-69%)であり,測定不良が疑われるSuccess rate 60%未満は16.5%,CAP IQR / med. 30%超は12.9%であった.CAP値はS0 / 1 / 2 / 3群:197.1±53.3 / 239.1±57.6 / 312.7±38.1 / 281.5±53.9 dB/mと有意差を認め,特に脂肪化の乏しいS0群と比較し,脂肪化を有するS1,S2,S3群は有意に高値であった.一方L/S比はS0 / 1 / 2 / 3群:1.21±0.14 / 1.06±0.17 / 0.77±0.24 / 0.63±0.32と脂肪化が高度になるに伴い有意に低下し,S2とS3間を除く各群間に有意差を認めた.CAP値はL/S比と良好な相関(相関係数-0.559,p<0.0001)を示し,ROC解析では,S1以上の脂肪化診断はAUROC 0.78であり,Cutoff値を230.5 dB/mとした際,感度70.1%,特異度81.7%と,L/S比のAUROC 0.81,感度72.4%,特異度76.7%(cutoff値1.12)に匹敵した.またS2以上の脂肪化診断はAUROC 0.86であり,Cutoff値を263.0 dB/mとした際,感度80.0%,特異度78.7%であった(L/S比 AUROC 0.95,感度90.0%,特異度83.5%(cutoff値0.97)).なお同時に測定した肝硬度の指標であるE値は,F0 / 1 / 2 / 3 / 4群:6.3±2.1 / 7.6±5.3 / 9.8±9.0 / 16.7±12.9 / 25.8±13.0であり,線維化が進行するにつれE値の増加を認めた.
【考案・結語】
CAPは肝内の脂肪蓄積の推定においてCTのL/S比と良好な相関を呈し,軽度の脂肪化も検出することが可能であった.非侵襲的に放射線被曝も与えずに定量評価することが可能であり,また同時に肝硬度測定による線維化診断も行え,NAFLDの診断・治療効果判定に有用であると考えられた.