Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
肝臓5

(S597)

造影超音波診断によるNASH薬物治療の検討

Assesment of the NASH medication by contrast enhanced ultrasonography

山平 正浩1, 青木 智子1, 2, 西村 純子1, 吉田 昌弘1, 東浦 晶子1, 柴田 陽子1, 廣田 誠一3, 田中 弘教1, 2, 西口 修平2, 飯島 尋子1, 2

Masahiro YAMAHIRA1, Tomoko AOKI1, 2, Junko NISHIMURA1, Masahiro YOSHIDA1, Akiko HIGASHIURA1, Youko SHIBATA1, Seiichi HIROTA3, Hironori TANAKA1, 2, Shuhei NISHIGUCHI2, Hiroko IIJIMA1, 2

1兵庫医科大学超音波センター, 2兵庫医科大学内科・肝胆膵科, 3兵庫医科大学病院病理部

1Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, 2Division of Hepatobiliary and Pancreatic Disease, Department of Internal Medicine, Hyogo College of Medicine, 3Department of Surgical Pathology, Hyogo College of Medicine

キーワード :

【はじめに】
非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease; NAFLD)は,組織診断で肝細胞への脂肪沈着のみを認める単純性脂肪肝と脂肪化に壊死,炎症,線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH;non-alcoholic steatohepatitis)に分けられる.NASHはNAFLDの重症例であり,肝硬変や肝癌の発生が高率であるとされており,日常臨床上,鑑別が重要である.しかし,現在のところ,肝生検による病理学的診断しか確立されたものはなく,侵襲性や入院などの経済的・時間的負担が問題となる.我々は,超音波造影剤Levovist(Levo)およびSonazoid(Sona)を用いた造影超音波検査でNAFLDからNASHの拾いあげが可能であることやNASHの経過観察の一助になり得ることを報告した.今回,NASHの薬物治療の有無によって造影超音波で得られる輝度値に差があるかを検討した.
【方法・対象】
超音波診断装置は東芝メディカルシステムズ社製のAplioXG,プローブは中心周波数3.75MHzのコンベックス型プローブを使用した.超音波造影剤は,Levoでは推奨用量の1/2量(1.25g),Sonaでは推奨用量の1/1200量を用いた.肘静脈よりbolus投与後,各々20分,40分での肝,脾の輝度値を高音圧モード(MI値1.5〜1.6)にて撮像し,保存された画像を画像編集ソフトAdobe photo shopを用いてfocus付近の深さで5ヶ所(計10ヶ所)のROI(region of interest)を設定し,輝度解析を行い輝度値(Levo20,Sona40)とした.症例は,2008年1月から2013年10月まで当院を受診,肝生検による病理組織検査によりNASHと診断された73例を対象とした.検査時にUDCAを処方されている患者を投薬群とし,非投薬群と各検査項目(AST,ALT,γ-GTP,T-bil,AFP,フェリチン,血糖値,IRI,HbA1c,T-chol,TG,APRI,Fib4,ヒアルロン酸,PT,血小板数)や身体所見(身長,体重,BMI),ならびにLevo20,Sona40を比較検討した.
【結果】
各検討項目で投薬群と非投薬群で比較したところ,いずれにおいても有意差が得られなかった.(Levo20 P=0.61,Sona40 P=0.78)
【考察】
NASH症例は生活習慣を是正することにより,AST/ALTが改善し,Levo,Sonaの染影が改善するすなわちKupffer機能が改善する可能性があることを報告してきた.しかし,今回は投薬群と非投薬群でLevo,Sonaの染影の差は見られなかった.UDCA投与前後で十分な評価が出来ていないことは否めないが,生活習慣の改善によるKupffer機能の変化が大きな要素であることも考えられ,今後前向きな検討を必要とすると考える. 
【結語】
NASHにおけるUDCAの投薬群と非投薬群で,肝輝度値に有意な差は見られなかった.CEUSによるKupffer機能の検討では生活習慣改善が大きく関与する.