Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
造影超音波検査3

(S596)

造影エコーによる部分的脾動脈塞栓術の評価

Evaluation of Partial Splenic artery Embolization using Contrast-Enhanced Ultrasonography

佐伯 一成1, 石川 剛2, 日高 勲2, 高見 太郎2, 寺井 崇二2, 坂井田 功2

Issei SAEKI1, Tsuyoshi ISHIKAWA2, Isao HIDAKA2, Tarou TAKAMI2, Shuji TERAI2, Isao SAKAIDA2

1山口大学医学部付属病院検査部, 2山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科学

1Division of Laboratory, Yamaguchi University Hospital, 2Department of Gastroenterology and Hepatology, Yamaguchi University Graduate School of Medicine

キーワード :

【目的】
我々の施設では肝硬変などに伴う門脈圧亢進症に対して積極的に治療介入している.特に脾機能亢進症に対する部分的脾動脈塞栓術(PSE)は門脈圧の低下作用も見込め,非常に有用な方法である.通常PSE後の評価として施術後1週間および1ヶ月に造影CTを撮影しているが,度重なる放射線検査による被爆や観血的な検査・治療介入が多く,患者へ負担を強いる現状がある.そこで,超音波検査(US)を用い非侵襲的に門脈系の評価や脾塞栓率の測定ができるか検討する.
【対象と方法】
2013年1月より2013年11月まで当科にてPSEを施行した12例を対象とした.平均年齢は64.8歳,男女比6/6,Etiology HBV/HCV/Alcohol/その他3/6/2/1,Child-Pugh A/B 6/6,PSE前の血小板値(Plt)5.3±2.6×1010/L,脾容積531.6±147.0cm3であった.PSE前1週間以内とPSE後1週間での造影超音波(CE-US)を施行し,PSE後1週および1月の造影CT volumetryと比較した.超音波診断装置はAscendus(日立アロカメディカル社)を,探触子はEUP-C715を使用した.塞栓率はSonazoid 0.01cc/kg投与後10min後に任意のスライス(5-10スライス)で脾臓をスキャンした.その上で,術者が脾臓の輪郭および塞栓部の輪郭を囲み,塞栓率を評価した.
【結果】
PSE後1週間で,Pltは2.2倍へ増加した(p=0.0013).平均脾静脈血流速度(SPVm)は有意に低下し(p=0.0132),それに伴い推定脾静脈血流量(SPVBF)も有意に低下した(p=0.0123).平均門脈速度(PVm)は低下する症例が多いものの,有意差は認めなかった(p=0.1451).脾塞栓volumeはCT上402.3±192cm3であった.Sonazoid造影による脾塞栓率評価ではPSE後1週間後のCTとは相関を認めなかったが(p=0.5781),1月後のCT評価と有意に相関していた(p=0.0201).
【考案】
PSEにより門脈血流は劇的に変化し,USにより,門脈および脾静脈血流の評価が可能であった.また,Sonazoidは網内系に取り込まれる性質があり,肝腫瘍の診断に使用されている.今回検討した脾臓は網内系の中心臓器であり,投与したSonazoidは脾臓の貪食細胞に取り込まれる.CTは血流評価が主体であり,1週後には炎症を反映した脾の造影効果があると考えられる.CE-USによる評価が1週間後より1月後のCTと相関していることはSonazoidによる塞栓率評価が血流評価だけではなく,機能的評価までも行えている可能性が示唆された.
【結論】
Sonazoid造影によるCE-USは放射線被爆なく可能でありPSE後の評価として有用である.