Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
造影超音波検査3

(S595)

肝動脈・門脈・肝静脈到達時間計測と肝線維化,門脈圧,心係数に関する検討

Correlation of cardiac index and hepatic artery, portal vein, hepatic vein arrival time

脇 英彦1, 伊東 宏祐2, 大掛 馨太3, 飯田 洋也4, 生田 真一4, 相原 司4, 岸 清彦5, 山中 若樹4

Hidehiko WAKI1, Kohsuke ITO2, Keita OHGAKE3, Hiroya IIDA4, Shinichi IKUTA4, Tsukasa AIHARA4, Kiyohiko KISHI5, Naoki YAMANAKA4

1明和病院超音波センター・臨床検査科, 2明和病院臨床検査科, 3明和病院臨床工学室, 4明和病院外科, 5明和病院内科・臨床検査科

1Clinical Ultrasound Division, Meiwa Hospital, 2Department of Clinical Laboratory, Meiwa Hospital, 3Medical Technology Division, Meiwa Hospital, 4Department of Surgery, Meiwa Hospital, 5Department of Internal medicine, Meiwa Hospital

キーワード :

【目的】
Sonazoid投与後の肝動脈・門脈・肝静脈各々の到達時間と門脈圧,肝線維化,左室駆出率(EF),心係数(CI)の関係を比較検討した.
【対象・方法】
2009年7月から2013年10月までの期間の肝がん症例28例(術中門脈圧の測定ができた肝切除20例,経皮ラジオ波焼灼術8例)を対象とした.この内,16例でEF,CIを計測した.Sonazoidは推奨容量の2/1量を投与した.検討1:肝切除群で肝動脈・門脈・肝静脈到達時間と門脈圧の相関関係を検討した.検討2:肝組織が得られた症例で肝動脈・門脈・肝静脈到達時間と新犬山分類F stageの相関を検討した.検討3:肝動脈,門脈,肝静脈到達時間とEF,CIの相関を検討した
【成績】
検討1:肝切除20例の平均門脈圧は18.7cmH2O であった.到達時間(秒)と門脈圧の相関は肝動脈(r=−0.61)(p<0.004),門脈(r=−0.61)(p<0.004)肝静脈(r=−0.66)(p<0.001)と門脈圧の上昇に伴い,有意に到達時間の短縮を認めた.検討2:到達時間(秒)と新犬山分類F stageの関係はF1からF4と肝線維化の進行に伴い到達時間が有意に短縮した.検討3:肝動脈,門脈,肝静脈到達時間とEF,CIは有意な相関を認めなかった.
【考察】
門脈圧高値,肝線維化進行例では,肝動脈・門脈・肝静脈到達時間が有意に短縮した.肝動脈・門脈・肝静脈到達時間短縮の原因は,循環亢進による心拍出量の増加ではなく,肺内短絡経路を含めた肺体循環時間の短縮が原因と考えられた.
【結語】
造影超音波検査による肝動脈・門脈・肝静脈到達時間の計測は,低侵襲的に肝線維化と門脈圧上昇の予測に有用と考えられた.