Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
Elastography3

(S593)

術中超音波elastorgaphyの消化器癌リンパ節転移診断における有用性について

Evaluation of intraoperative elastography for lymph node metastase in the gastrointestinal cancer

石川 正志, 浅野間 理人, 松山 和男, 大潮 猛人

Masashi ISHIKAWA, Rijin ASANOMA, Kazuo MATSUYAMA, Taketo OOSHIO

公立学校共済組合四国中央病院外科

Surgery, Shikoku Central Hospital

キーワード :

病変の悪性度と組織の硬さには相関があることが知られており,最近組織弾性評価法の1つとして超音波elastographyが,乳腺・甲状腺領域の腫瘤の良悪性の判定に臨床応用されている.これまで各種画像診断による術前リンパ節(LN)転移診断が行われてきたが,病理診断とはかなりの乖離がある.また術中に外科医の視触診診断がある程度有効であるが,なお高い精度が求められている.特に,内視鏡手術においては十分に外科医の視触診診断が有効とはならないことが多く,リンパ節転移の診断について有効な診断方法が求められている.
そこで,我々は5cm程度の小切開創からも可能な術中超音波elastographyが,LN節転移の診断の評価に有効かどうかについて検討した.
【対象と方法】
過去1年半に当院で消化器癌の開腹手術をうけた51例(胃癌20例,大腸癌31例)を対象とした.術中超音波エラストグラフィは日立アロカの超音波機器(AVIUS)を用い,脂肪層とリンパ節のひずみをそれぞれB,AとしてB/A比を算出しstrain ratioで客観的に評価した.また,術前CT所見,術中の外科医による視触診診断についても同様に病理診断と比較した.
【結果】
LN転移は胃癌で11例,結腸癌で14例見られた.胃癌は平均年齢78.6歳,StageⅠ4例,Ⅱ5例,Ⅲ6例,Ⅳ5例,大腸癌は平均年齢73.2歳,StageⅠ7例,Ⅱ10例,Ⅲ12例,Ⅳ2例であった.
胃癌ではLN転移の感度,特異度,正診率はCTでそれぞれ78%,100%,88%で,術中視触診による診断では89%,100%,94%であった.一方結腸では感度,特異度,正診率はCTでそれぞれ36%,92%,65%で,術中診断では55%,100%,78%であった.LNのElastographyの比は胃癌症例では転移+で6.9±4.4,転移−で1.6±0.6であり,大腸癌ではそれぞれ5.6±4.7,1.6±0.5で有意差がみられた.elastographyのcut off値を2.0とするとLN転移の感度,特異度,正診率は胃癌でそれぞれ100%,100%,100%で,結腸癌で91%,75%,87%%と他の診断法に比べ最も良好となった.
【結語】
超音波エラストグラフィーのB/A比は胃癌・大腸癌ともに感度・特異度・正診率が高かった.また,リンパ節転移の有無と超音波エラストグラフィのB/A比の間には有意性が高かったことから術中診断に有用であると思われる.術中のelastorgaphyによりLN転移の診断能がさらに向上する可能性があり,至適術式の決定に役立つと思われる.