Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
Elastography3

(S593)

Real-time Tissue Elastographyによる脾臓の硬さ評価と食道静脈瘤内視鏡所見との関連

Real-time Tissue Elastography reveals relationship between splenic elasticity and endoscopic classification of esophageal varices

森 雅美1, 中尾 由佳1, 井西 千晶1, 岩永 大1, 福田 勝彦2

Masami MORI1, Yuka NAKAO1, Chiaki INISHI1, Dai IWANAGA1, Katsuhiko FUKUDA2

1PL病院中央臨床検査部, 2PL病院消化器内科

1Department of Clinical Laboratory, PL Genaral Hospital, 2Department of Gastrointestinal Medicine, PL Genaral Hospital

キーワード :

【はじめに】
我々は第86回学術集会において,Real-time Tissue Elastography(RTE)を用いて慢性肝疾患における脾臓の硬さと門脈圧との関連について検討し,門脈圧の亢進と共に脾実質の硬さが増す傾向を示すことを報告した.今回,我々はさらに慢性肝疾患における脾臓の硬さの臨床的意義について,食道静脈瘤(EV)内視鏡所見との関連を検討したので報告する.
【対象および方法】
上腹部消化管内視鏡にてEVを確認できた慢性肝疾患34例(C型慢性肝炎3例,C型肝硬変13例,B型肝硬変2例,アルコール性肝硬変11例,原発性胆汁性肝硬変5例)を対象とした.使用装置は日立アロカEUB-8500でリニアプローブ(3〜7MHz)を使用した.走査方法は,肋間走査において脾臓を描出し皮下脂肪層,筋層と脾実質が約1:1になるようにROIを設定し,プローブによる用手圧迫でRTE画像を描出し相対的ひずみ分布を観察した.得られたRTE画像を日立アロカ社提供の画像解析ソフトを用いて解析し,ひずみ平均値(Mean),硬く描出された面積(Area)の特徴量を算出した.EV内視鏡所見よりF1群25例,F2群9例とred color(RC)sign陰性群24例,陽性群10例の各2群間において特徴量との比較検討を行った.
【結果】
Mean,Area各特徴量とF1群,F2群との間には有意差は見られなかった(p>0.05)が,RC sign陰性群と陽性群の間には有意差を認めた(p<0.05).
【考察】
我々がRTEを用いた慢性肝疾患における脾臓の硬さ評価の検討を重ねてきた結果では,脾腫の程度にかかわらずEV(+)群は(−)群に比し有意に脾実質が硬い傾向を示し,また門脈圧の亢進と脾実質の硬さが密接に関連していることがわかった.さらに今回,脾臓の硬さとEV内視鏡所見との関連について検討した結果,RC sign陽性群の方が陰性群よりもMeanが低値を,Areaが高値を示しさらに脾臓の硬さが増す傾向を示した.一般にRC signは門脈圧が高いほど多く出現しEV出血の危険性が高い兆候とされており,脾実質の硬さを評価することは,EV形成の有無に加えてEVの性状を予測でき臨床的意義があるものと考えられた.
【結語】
RTEは食道静脈瘤の有無,性状を予測する有用なtoolに成り得ると思われた.