Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
Elastography3

(S592)

肝疾患に対するStrain Elastographyの応用

Evaluation of Liver Disease using Strain Elastography

大枝 敏1, 江口 有一郎1, 小野 尚文2, 荒木 紀匡2, 江口 尚久2

Satoshi OHOEDA1, Yuichirou EGUCHI1, Naofumi ONO2, Norimasa ARAKI2, Takahisa EGUCHI2

1佐賀大学肝疾患医療支援学講座肝臓内科, 2江口病院内科

1Saga University School, Medicine, 2Medicine, Eguchi Hospital

キーワード :

【はじめに】
Strain Elastographyは乳腺や甲状腺疾患などの体表臓器の硬度診断において有用な検査法である.腹部臓器である肝臓に関しては,肝の硬さを評価する方法としてはfibroscanやVTTQ(Virtual-Touch Tissue Quantification)など様々な方法があり臨床的に評価されている.しかしそれは数値化であり,体表臓器のように画像としてはほとんど行われていない.今我々は体表臓器のように描出出来ないかと,腹部用のコンベックス型プロブにてStrain Elastographyを行っている.今回その現状について報告する.
【対象および方法】
対象は各種画像診断にて臨床診断した肝腫瘤性病変である(肝細胞癌,肝血管腫,肝のう胞,胆管癌,限局性脂肪浸潤,脂肪肝spared area,炎症性偽腫瘍).超音波装置はLOGIQ S8,腹部用のコンベックス型プロブ(C1-5)を用いて用手的圧迫法にてStrain Elastographyを行った.設定条件は,2.5MHz, Frame Rejection-2(心拍動が感知できるように設定), ROIは表面から観察部位より深部まで広範囲に設定し,柔らかい領域は赤色,硬い領域は青色で表示した.
【結果】
肝細胞癌では,非癌部より青系に,中には癌内部に柔らかい表示が認められた.肝血管腫では,基礎肝疾患の影響かさまざまなパターンであった.肝のう胞では全例青く表示され,のう胞下方が赤く表示された(特徴的所見).胆管癌は青く表示された.限局性脂肪浸潤は赤系に表示され,脂肪肝のspared areaは周囲の脂肪肝部より青系に表示された.
【考察および結語】
我々が肝臓においてStrain Elastographyを行っているのは,ドプラエコーにて腫瘤の血流をみるように,エラストエコーにて硬さの評価ができればとの思いで行っている.画像としてまだ粗く(それなりの画像が得られる),一番大きな問題は再現性と思われる.体表での使用と異なり,肝臓をみるため深部までの広範囲をコンベックス型プロブにて観察するため圧迫には特性を理解(熟練)し行うことが必要である.現在再現性を改善する新たな方法として,心拍動の感知中心(強い用手圧迫の非感知)とし,感度やMAPなどを変えて試みている.これにより再現性を少し改善し,画像としても向上したように思われる.今後,腹部コンベックス型プロブによるStrain Elastographyにおける至適条件の設定ができれば臨床的に有用な方法になると思われた.