Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
Elastography3

(S591)

B型慢性肝炎におけるReal-time tissue elastographyと腹腔鏡所見との相関

Correlation with Real-time tissue elastography and laparoscopic findings in chronic hepatitis B

高木 慎太郎

Shintaro TAKAKI

広島赤十字・原爆病院第2消化器内科部

Department of gastroenterology, Hiroshima Red cross Hospital and Atomic-bomb survivors Hospital

キーワード :

【背景】
B型慢性肝疾患の評価ため肝生検は一般的であるがB型肝炎ではしばしば組織診断と腹腔鏡所見は乖離し,腹腔鏡所見の方がより強い予後予測因子との報告もある.一方で,Real-time tissue elastography(RTE)は非侵襲的肝繊維化評価方として広く施行されているが,腹腔所見との対比についての報告は少ない.B型慢性肝疾患症例における腹腔鏡所見,肝生検所見とRTEや他肝繊維化マーカーとの相関を比較し検討する.
【方法】
対象は2011年7月から2013年11月までに腹腔鏡下肝生検を行ったB型慢性肝疾患39例.年齢49.1±11.4歳,男性/女性23/16例,PLT 19.1±6.0×104/μl,ALT 45.3±73.48IU/L.Alb 4.5±0.35 g/dl.HBV-DNA 4.14±2.65 logcopies/mlで,13例(33%)が核酸アナログ治療(NA)中であった.腹腔鏡検査前日にReal-time tissue elastographyにてLF Index(LFI)を測定,原則として肝右葉5回以上測定し中央値を測定値として採用した.腹腔鏡所見は,平滑肝,不平-斑紋肝,結節肝に分類した.腹腔鏡所見と肝生検所見を比較し,RTEや血液生化学検査所見との相関を比較検討した.
【成績】
腹腔鏡所見は,平滑/不平-斑紋/結節:14/14/11例であり,肝生検は,F1/F2/F3/F4 : 17/12/4/6例であった.このうち結節肝と診断され11例のうち5例(45%)はF3以下であったが3例(60%)は核酸アナログを内服中であった.各繊維化マーカーと腹腔鏡所見との相関は,RTE(r=0.51,P=0.01), Alb(r=0.16,P=0.32), Plt(r=-0.19,P=0.25),ヒアルロン酸(r=0.21,P=0.22)であり,肝生検F因子との相関は,RTE(r=0.34,P=0.03), Alb(r=-0.09,P=0.58), Plt(r=0.01,P=0.94),ヒアルロン酸(r=0.34,P=0.04)であり,いずれの所見においてもRTEとの比較的良好な相関が認められた.各々のRTEの分布をみると腹腔鏡所見:平滑/不平-斑紋/結節:1.66±1.788 / 2.01±0.268 /2.13±0.408(P=0.005),肝生検はF1/F2/F3/F4:1.79±0.358 / 1.98±0.424 / 1.80±0.543 / 2.24±0.347(P=0.153)であり,RTEは腹腔鏡所見とより相関しているものと考えられた.
【考察】
核酸アナログ投与により結節肝でもF因子や生化学所見が改善している症例があり,腹腔鏡検査によって病態把握に有用な情報が得られると考えられた.RTEは腹腔鏡所見と相関しておりB型慢性肝炎の病態把握に有用と考えられた.