英文誌(2004-)
一般口演 消化器
Elastography3
(S591)
C型慢性肝疾患の線維化診断におけるHeart beat induced strain elastographyの有用性
Usefulness of S-Map in evaluating the degree of liver fibrosis in hepatitis C infection
和久井 紀貴1, 2, 武田 悠希2, 山内 芳也2, 朝井 靖二2, 佐藤 綾1, 松清 靖1, 大塚 隆文1, 2, 西中川 秀太2, 児島 辰也2, 住野 泰清1
Noritaka WAKUI1, 2, Yuki TAKEDA2, Yoshiya YAMAUCHI2, Yasutsugu ASAI2, Aya SATO1, Yasushi MATSUKIYO1, Takafumi OTSUKA1, 2, Shyuta NISHINAKAGAWA2, Tatsuya KOJIMA2, Yasukiyo SUMINO1
1東邦大学医療センター大森病院消化器内科, 2東京労災病院消化器内科
1Gastroenterology and Hepatology, Toho University Omori Medical Center, 2Gastroenterology and Hepatology, Tokyo Rosai Hospital
キーワード :
C型慢性肝疾患における線維化診断のgold standardは肝生検とされている.しかし
肝生検は侵襲的で出血等の合併症の危険性を伴い,また肝臓の局所部位での評価しか行えないという欠点をもつ.そこで最近,それに代わる非侵襲的測定法として超音波を用いた肝硬度を画像化・数値化する手技が開発され,応用されるようになった.
【目的】
今回,我々はC型慢性肝疾患の線維化診断においてHeart beat induced strain elastography(S-Map)が有用か否か明らかにする.
【方法】
対象は2013年1月より11月までに肝生検とS-Mapを施行し得たC型慢性肝疾患30例.超音波検査はGEヘルスケアジャパン社製LOGIQ E9 XD clearと3.5 MHZコンベックスプローブ(C1-6)を使用し,右肋間走査から心拍の検出する断面で肝表から5cmのところに横2cm×縦4cmのROIをおき,ひずみの絶対値をカラーマッピングする機能であるS-Mapにより,ひずみ画像を取得した.症例間でのelastographyの設定(周波数やストレインスケール等)は固定し,心拍動により最もひずみが生じたフレームを代表フレームとした.代表フレームから算出される半定量的解析値(Strain Index)を計5-7回測定し,その平均を求めた後,ROIから心臓までの距離(HD)を測定し,strain indexの平均との積(SHD)を算出した.その後,肝生検(F因子)と各群間のSHDを対比した.またROC曲線を描き,SHDによる肝線維化診断能についても検討した.
なお超音波検査は同一条件となるよう一人の検査者によって行った.また肋間が狭い等で肝臓の描出が困難な症例,心疾患患者と有腹水症例は対象から除外した.上記除外条件にあてはまる健常コントロール8例も対象とした.
【成績】
肝線維化ステージとSHDの比較を行った結果,健常者とF2(p<0.01),健常者とF3(p<0.01),健常者とF4(p<0.01),F1とF4(p<0.05),F2とF4(p<0.05)に有意差を認めた.F4以上の診断能はROC下面積が0.82,cutoff値168で感度85.7%,特異度74.2%,F2以上の診断能はROC下面積が0.85,cutoff値222で感度79.2%,特異度85.7%であった.
【まとめ】
C型慢性肝疾患におけるS-Mapを用いたstrain indexの解析は,その線維化診断に有用であった.