Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
血流診断3

(S587)

B-Flow再構成法による肝微細血管の検討

Diagnosis of small hepatic vascular structure with B-Flow reconstruction imaging

佐野 隆友1, 森安 史典1, 神山 直久2

Takatomo SANO1, Fuminori MORIYASU1, Naohisa KAMIYAMA2

1東京医科大学病院消化器内科, 2GEヘルスケア・ジャパン株式会社超音波製品開発部

1Gastrointestinal medicine, Tokyo Medical University, 2Ultrasound Engineering, GE Healthcare Japan

キーワード :

【目的】
慢性肝疾患の病期診断や腫瘍の良悪性の鑑別診断の評価には,微細な血流の画像情報が診断に寄与することが多い.血流イメージングの1手法であるB-Flowは,血管を高い分解能で描出可能である事が以前から知られている.しかしながらB-Flowもmotion artifactが発生するため,より低流速で微小な血流を描出する際には,被験者の息止めやプローブの保持などに細心の注意を払う必要があった.今回我々はmotion artifactを軽減させる重畳法(改良型Accumulation法)により微細血流を撮像し,慢性肝疾患症例及び肝腫瘍症例に対して検査を行いその有用性に関して検討したので報告する.
【方法】
使用装置はLOGIQ E9 XDclear(GEヘルスケア社),使用プローブはC1-6(3.5 MHzコンベックス型)と9L(9MHzリニア型)を用いた.撮像は通常B-modeで観察の後,B-Flow modeでRaw dataを適宜記録した.慢性肝疾患例に対しては,肝表面の血管を肋間より描出し,Depthは6cm程度とし,主に9Lプローブを使用した.肝腫瘍例に対しては,腫瘍の存在位置により随時条件やプローブを変更した.改良型Accumulation法は,フレーム毎にmotion artifactの量を識別し,少ない順に逐次最大値投影を行う手法で,Raw dataをPCに転送後に試作ソフトにて作成した.
【結果】
当院通院中の慢性肝炎,肝硬変などのびまん性肝疾患10例と肝細胞癌などの腫瘍性疾患10例に対し,本法にて精査を行った.改良型Accumulation法により得られた画像例を図に示す.従来motion artifactによって覆い隠されていた微細な血管構造は本手法により可視化でき,血流の情報量が増えていることが確認できた.びまん性肝疾患においては,末梢門脈枝の口径不正,屈曲蛇行,分枝角度の鈍角化などの形態的変化が評価出来た(図A).また腫瘍性病変においては,従来のB-Flowでは描出されなかった腫瘍血管の細分枝が描出された(図B).
【結語】
改良型Accumulation法を用いたB-Flowは肝表面の微細な血管を描出する事が可能であった.本法は造影剤を使用することなく,微細な血管の描出が可能であるため,慢性肝疾患の病期診断や腫瘍血管の評価による良悪性の鑑別診断に寄与する可能性が示唆された.