Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
血流診断3

(S586)

B-Flowによる部分脾動脈塞栓術の治療効果判定

The therapeutic evaluation for partial splenic embolization by B-Flow technology

篠﨑 勇介1, 金田 暁2, 齋藤 正明1, 杉浦 信之1

Yusuke SHINOZAKI1, Satoru KANEDA2, Masaaki SAITO1, Nobuyuki SUGIURA1

1国立病院機構千葉医療センター内科, 2国立病院機構千葉医療センター消化器科

1Department of Internal Medicine, National Hospital Organization Chiba Medical Center, 2Department of Gastroenterology, National Hospital Organization Chiba Medical Center

キーワード :

【目的】
部分脾動脈塞栓術(Partial splenic embolization: PSE)は脾臓を温存したまま脾機能亢進症状を改善することを目的とした経血管的治療法である.当院では,多孔性ゼラチン粒を用いて,脾臓の栄養血管の半分程度を塞栓している.血流遮断の状況を確認し脾臓の縮小効果を予測・評価したいが,造影CTは放射線被曝,造影剤によるアナフィラキシー等の問題があり頻回の検査は行えない.また金属コイルを用いたPSEではアーチファクトが生じ,CTにより評価は困難である.B-FlowはBモードによる血流のイメージングで,Coded Excitationにより赤血球からの微小反射信号を増強することで血流を描出している.今回,B-Flowにより脾動脈の血流を描出することで,PSEの治療効果判定が可能か検討した.
【対象と方法】
当院でPSEを行ったC型肝硬変患者を対象とした.PSE治療前後にLOGIQ E9(GEヘルスケア社製)で脾臓および脾動脈をBモード撮影し,脾動脈の血流をB-Flowで描出した.画像はVolume Navigationを使用することで位置情報をもつボリュームデータとして取得し,血流以外の組織信号成分を抑制した後に脾動脈の血流を3D画像表示した.PSEはSeldinger法により脾動脈にカテーテルを挿入し,造影剤を混ぜたジェルパート(2mm粒)を注入して行った.塞栓の範囲は画像上50%を目安とした.血流遮断の判定には,PSE治療時の血管造影および治療後の造影CTを使用した.
【結果と考察】
B-Flowでは,脾動脈血流の一部が描出されず,血流が遮断されたと考えられた.またPSE前後の脾動脈血流の3D表示を比較すると,遮断された血流が明らかになり,PSEの効果予測に利用可能だった.B-Flowはカラードプラやパワードプラと比較して高フレームレート,高分解能であり,血管壁と血流を分離して表示することが可能なことから血流遮断を評価する一助となると考えられた.またVolume Navigationを用いて超音波プローブの位置情報を取得することで,治療前後のボリュームデータ同士の位置合わせができ,遮断された血流の範囲を可視的に評価できた.
【結語】
B-Flowを用いることで造影剤を使用せずに血流を明瞭に表示することが可能である.またVolume Navigationを用いれば,PSE前後の血流画像を重ね合わせて評価することが可能であり,PSEの治療効果判定に応用できる可能性が示唆された.