英文誌(2004-)
一般口演 消化器
血流診断2
(S585)
内視鏡的超音波カラードプラによる脾静脈閉塞による胃体部静脈瘤の診断
Diagnosis of gastric body varices due to splenic vein obstruction by endoscopic color Doppler ultrasonography
佐藤 隆啓
Takahiro SATO
札幌厚生病院消化器科
Gastroenterology, Sapporo Kosei Hospital
キーワード :
食道,胃(噴門,穹窿部)以外の異所性静脈瘤は稀であるが,時に大量出血をきたし生命にかかわることがある.
【対象】
当院で脾静脈閉塞による胃体部静脈瘤20例中16例に内視鏡的超音波カラードプラ(ECDUS)を行い,血流動態を解析した.ECDUSは超音波内視鏡にカラードプラ機能が付加された装置で管腔にプローブを誘導することで超音波カラードプラ法がもつ短所を克服しようとするものである.胃体部静脈瘤の基礎疾患は慢性膵炎9例,膵癌4例,骨髄線維症1例,胃癌1例,不明1例であった.脾静脈閉塞は16例全例,CTで診断された.
【結果】
内視鏡所見はいずれも穹窿部から胃体上部大彎を中心に拡がる静脈瘤を認めた.静脈瘤の形態は結節状12例,腫瘤状4例で静脈瘤の表面に粘膜所見(糜爛あるいはred color sign)あり4例,なし12例であった.胃体部大彎に関しては襞の肥厚所見として観察された.ECDUSで観察すると胃静脈瘤は穹窿部を中心に血流信号が検出され,胃体部大彎まで拡がりが明瞭にカラー表示された.静脈瘤の血流速度は8.6-28.6cm/s(平均17.1cm/s)で,静脈瘤表皮の厚みは0.8-2.0mm(平均1.5mm)であった.静脈瘤形態との関連では腫瘤状静脈瘤は結節状静脈瘤に比し,有意に血流速度が速かった(p<0.01).粘膜所見との関連ではありの静脈瘤はなしの静脈瘤に比し,有意に表皮が薄かった(p<0.01).
【結論】
脾静脈閉塞による胃体部静脈瘤の内視鏡所見は特徴的であるが,ECDUSで観察することにより,より詳細な静脈瘤の存在診断が可能である.また,基礎疾患に応じた対応となるが,静脈瘤の血流速度や表皮の厚みの計測により,治療適応の判断にも有用と考えられる.