Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
膵臓2

(S582)

膵癌の進展度診断における体外式超音波検査と超音波内視鏡検査の比較検討

US vs EUS in Staging of Pancreas Carcinoma

若杉 聡1, 小宮 雅明2, 藤田 あゆみ2, 小川 ゆかり2, 山口 実紀2, 坂巻 梓帆2, 鵜澤 綾奈2, 新井 悠太2

Satoshi WAKASUGI1, Masaaki KOMIYA2, Ayumi FUJITA2, Yukari OGAWA2, Miki YAMAGUCHI2, Azuho SAKAMAKI2, Ayana UZAWA2, Uta ARAI2

1亀田総合病院消化器診断科, 2亀田総合病院超音波検査室

1Department of Digestive Diagnosis, Kameda Medical Center Hospital, 2Ultrasonography Room, Kameda Medical Center Hospital

キーワード :

【はじめに】
体外式超音波検査と超音波内視鏡検査は,膵管癌の診断に必要不可欠である.体外式超音波検査は盲点が多い.超音波内視鏡検査は,患者に苦痛を与え,手軽ではない.どちらも検査者の熟練が必要である.しかし,両検査ともCT,MRIより空間分解能が高いため,「見えた部位」では非常に多くの情報を得ることができる.今回,我々は膵管癌の進展度診断において,体外式超音波検査(以下US)と超音波内視鏡検査(以下EUS)の比較検討を行った.
【対象と方法】
対象は2007年9月〜2011年5月まで,当院を受診した膵癌104例中,手術が行われた18例である.これらにおいて,後方浸潤(Rp),前方浸潤(S),門脈浸潤(PV),動脈浸潤(A),胆管浸潤(CH),十二指腸浸潤(DU),リンパ節転移(N)について,手術,病理所見を基準に正診例を検討した.
【結果】
後方浸潤の正診例は,US10例,EUS8例だった.前方浸潤の正診例はUS13例,EUS11例だった.門脈浸潤の正診例はUS12例,EUS13例だった.動脈浸潤はUS13例,EUS13例だった.胆管浸潤はUS14例,EUS12例だった.十二指腸浸潤はUS8例,EUS13例だった.リンパ節転移はUS9例,EUS8例だった.
【考察】
前方浸潤,後方浸潤の正診例は,USの方が多かった.当院では,これらの浸潤の有無を周囲正常膵組織より腫瘍が突出しているか,突出部の輪郭が不整かどうかで判定している.USでは,正常膵と腫瘍との関係を把握しやすいため,前方浸潤,後方浸潤の正診例が多いと思われた.当院ではTS1が少ないことも,この結果に関係していると思われる.動脈浸潤,門脈浸潤,胆管浸潤については,US,EUS,ほぼ同等だった.前方,後方浸潤同様,TS1症例が少ないため,両者の成績に差が出ないものと推察する.十二指腸浸潤は,EUSの正診率が高かった.USでは,十二指腸のガスの影響や,病変部が深部にあるための空間分解能の低下により,EUSより正診例が低いと考えた.また,これらの症例で,CTの進展度診断とも比較したが,US,EUSの結果を組み合わせて診断すれば,CTより良好な進展度診断が可能と思われた.
【結語】
膵癌の局所進展度診断において,前方浸潤,後方浸潤はUSが,十二指腸浸潤はEUSが信頼できる.門脈浸潤,動脈浸潤,胆管浸潤は,ほぼ同等の正診能である.ただし,当院ではTS1症例は少なく,TS2以上の症例においての検討である.TS2の症例で手術適応を決める際,CTだけでなく,US,EUSも組み合わせて決めることが重要と考える.