Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
膵臓2

(S582)

腹腔鏡下手術における術中超音波診断法の使用経験

Experience of the intraoperative ultrasound in an operation under laparoscopy

五十嵐 雅仁1, 小川 眞広2, 平山 みどり2, 高安 賢太郎2, 塩澤 克彦2, 松本 直樹2, 中河原 浩史2, 山本 敏樹2, 森山 光彦2, 松田 年1

Masahito IKARASHI1, Masahiro OGAWA2, Midori HIRAYAMA2, Kentaro TAKAYASU2, Katsuhiko SHIOZAWA2, Naoki MATSUMOTO2, Hiroshi NAKAGAWARA2, Toshiki YAMAMOTO2, Mitsuhiko MORIYAMA2, Minoru MATSUDA1

1駿河台日本大学病院外科, 2駿河台日本大学病院内科

1Surgery, Surugadai Nihon University Hospital, 2Internal Medicine, Surugadai Nihon University Hospital

キーワード :

【目的】
低侵襲の手術方法として腹腔鏡下の切除が普及しており周辺器具の改良に伴い切除部位も拡大傾向である.腹腔鏡下の手術は内視鏡の発展に伴い鮮明な画像が得られるようになった反面,2次元表示のため深部方向の情報が得られにくいという欠点がありこれまでも種々の手法が試みられている.腹腔鏡下手術の制限として術野への入口部に制限があるためこれまで術中超音波検査は施行できなかったが,周辺機器の改良により腹腔鏡下手術専用の超音波プローブも出現した.今回我々は,膵腫瘍性病変に対し腹腔鏡下手術が施行された症例に対し腹腔鏡下の術中超音波検査を試みたのでその有用性について報告する.
【方法】
対象は膵腫瘤性病変に対し腹腔鏡下切除が施行された膵腫瘍である.腹腔鏡下手術時にポートより専用探触子を挿入しB-mode,カラードプラ,エラストグラフィー,sonazoidを用いた造影超音波検査を施行した.使用装置HIVISION Ascendus,使用探触子:EUP-OL334(中心周波数7.5MHz),ProSound F75,使用探触子:UST-5418(2〜13 MHz,中心周波数7.0MHz).造影超音波検査:sonazoid0.5ml/body,MI値:0.16〜0.4
【結果】
以下の点において腹腔鏡下手術時に超音波検査を施行することの有用性があると考えられた.1)膵表面に腫瘍が露出していない病変に対して腫瘍部の同定.2)B-modeに加えカラードプラを用いる事で膵管と脈管との鑑別.3)エラストグラフィーを用いた周辺への浸潤範囲の推測.4)造影超音波検査を用いた腫瘍鑑別,腫瘍の浸潤範囲,膵管・脈管と腫瘍部の位置関係の確認.以上より切除部位の決定に極めて有用であると考えられた.
【考察】
腹腔鏡下の手術においては用手的な確認ができない事が術者のストレスにもなると考えられていたが,超音波B-mode,エラストグラフィーなどを用いて病変部位を確認できることより腹腔鏡下手術時における“触診代わり”となる手法であると考えられた.今回は,B-modeに加え,カラードプラ,エラストグラフィー,造影超音波検査等が施行可能である事が確認され,内臓脂肪影響を受けない病変部の近位で検査が施行できることにより質の高い超音波検査が施行できることが確認できた.特に腹腔鏡下手術においては情報量が不足することが欠点として挙げられているため,この様な手法で有用な情報が手軽に得られる事によりこの分野においても今後有用性が高まることが予想された.