橋本 千樹¹, 川部 直人¹, 原田 雅生¹, 新田 佳史¹, 村尾 道人¹, 中野 卓二¹, 嶋崎 宏明¹, 西川 徹², 杉山 博子², 吉岡 健太郎¹

Senju HASHIMOTO¹, Naoto KAWABE¹, Masao HARATA¹, Yoshifumi NITTA¹, Michihito MURAO¹, Takuji NAKANO¹, Hiroaki SHIMAZAKI¹, Tooru NISHIKAWA², Hiroko SUGIYAMA², Kentarou YOSHIOKA¹

¹藤田保健衛生大学肝胆膵内科, ²藤田保健衛生大学病院臨床検査部

¹Department of Liver, Biliary Tract and Pancreas Diseases, Fujita Health University, ²Department of Clinical Laboratory Medicine, Fujita Health University Hospital

キーワード :

【目的】
膵神経内分泌腫瘍（以下PNET）および膵充実性偽乳頭状腫瘍（以下SPT）は，比較的まれな膵腫瘍であるが，近年，画像診断の進歩により，発見される頻度が増加している．しかし，腹部USのBモード上PNETとSPTとの鑑別に苦慮する症例も経験する．鑑別診断には血流診断が重要であると思われるが，ソナゾイドによる造影超音波検査（CEUS）が膵疾患に対しては未承認であり，詳細な報告はまだ少ない．今回我々は，当科で経験したPNETおよびSPTの診断におけるCEUSの有用性について検討した．
【対象】
2007年1月から2013年3月までにCEUSを施行しPNETおよびSPTと組織診断したPNET7例（男性4例，女性3例，平均年齢56歳），SPT4例（女性4例，平均年齢32歳）．
【方法】
主な使用超音波診断装置はGE社製LOGIQ E9で，プローブはC1-5，または9Lを使用した．超音波造影剤ソナゾイド0.01ml/Kgを静注後，1分間病変部を観察した．造影パターンについては周囲膵実質と比較した．Bモード所見，CEUS所見をPNETとSPTとで比較検討した．なお造影超音波検査は当院の倫理委員会の承認を得て患者の同意を得て行った．
【結果】
Bモード：PNETでは全例が内部エコーは低エコーであった．6例が内部エコー均一で1例が不均一であった．SPTでは3例が内部エコーが低エコー，1例が高エコーであった．1例が内部エコー均一で3例が不均一であった．
CEUS：PNETでは6例でHypervascularパターン，1例でIsovascularパターンであった．SPTでは全例Hypovascularパターンであった．
【考察】
Bモードでは，いづれも低エコーを呈するが，PNETと比較しSPTは内部エコーが不均一な症例が多かった．CEUSではPNETと比較しSPTは造影効果に乏しく鑑別に有用であった．
【結語】
CEUSによる血流評価はPNETとSPTの鑑別に有用である．