Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
膵臓2

(S581)

嚢胞性膵腫瘍の悪性度診断における造影超音波検査(CEUS)の有用性の検討

Evaluation of contrast-enhanced ultrasound(CEUS)for cystic lesions of the pancreas

藤井 仁

Hitoshi FUJII

りんくう総合医療センター外科

Department of Surgery, Rinku General Medical Center

キーワード :

【背景】
嚢胞性膵腫瘍に関して,2012年IPMN/MCN国際診療ガイドラインが改定された.
主膵管型IPMNの悪性頻度は平均61.6%で全例切除が推奨されているが,悪性を示唆する決定的な術前予測因子はなく,CTあるいはMRIで造影効果を有する壁在結節の存在および10mm以上の主膵管拡張を“high-risk stigmata”としている.分枝型IPMNの悪性頻度は平均25.5%と低く,“high-risk stigmata”がなければ経過観察が推奨されているが,手術適応は個々の症例により考慮されているのが現状である.
MCNの浸潤癌の頻度は15%未満と低いが,MCNの自然史が十分に解明されていないため非手術的管理に長年の経過観察を要し,また浸潤癌に至る前の切除は根治的に行え再発することがないため,可能な限り切除が推奨されている.
【目的】
悪性度予測の困難な嚢胞性膵腫瘍において,①壁在結節を有するIPMNに対して造影超音波検査による悪性度診断の可能性,②MCNに対して造影超音波検査による悪性度診断の可能性,について検討する.
【対象】
2007年4月から2012年12月までに,当院で術前に嚢胞性膵腫瘍と診断し外科的治療を施行した8例.
【方法】
術前のCT/MRIによる評価に加え,術中にソナゾイドを用いた造影超音波検査(CEUS)による評価と切除術を施行した.ソナゾイドは0.015mg/kgを経静脈的に投与し,開腹下に膵表面よりvascular imageを中心に連続的に観察した.嚢胞壁,壁在結節の微細血流を膵実質と比較し,hyper, iso, hypovascularityと評価した.CEUSは院内IRB通過後,患者同意取得の上施行した.
【結果】
①年齢66-80歳,男:女=3:2,主膵管型IPMN4例(うち悪性1例),分子型IPMN1例(うち悪例0例).IPMNは全例に壁在結節を認め,結節高は平均13mm(3.4-20.9),嚢胞壁および壁在結節がhypervascularityであった1例のみ悪性であった.
②年齢41-73歳,男:女=0:3,MCN3例(うち悪性1例)であった.MCNは全例に嚢胞内隔壁の肥厚を認めたが,壁在結節がhypervascularityであった1例のみ悪性であった.
【結語】
嚢胞性膵腫瘍において,CEUSを用いた壁在結節の血流評価による悪性度診断の可能性が示唆された.