Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
携帯超音波

(S579)

新しい携帯超音波装置(Sonimage:P-3)の使用経験

Sonimage; a new pocket-sized US: preliminary experience

石田 秀明1, 渡部 多佳子1, 大山 葉子2, 長沼 裕子3, 高岡 竜也4, 岡田 美和4, 川口 高子4

Hideaki ISHIDA1, Takako WATANABE1, Yoko OHYAMA2, Hiroko NAGANUMA3, Ryuya TAKAOKA4, Miwa OKADA4, Kouko KAWAGUCHI4

1秋田赤十字病院超音波センター, 2秋田組合総合病院臨床検査科, 3市立横手病院消化器科, 4コニカミノルタヘルスケア株式会社超音波担当

1Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital, 2Department of Medical Laboratory, Akita Kumiai General Hospital, 3Department of Gastroenterology, Yokote Municipal Hospital, 4Ultrasound System Group, Konica Minolta Healthcare

キーワード :

Vscan(GE Healthcare,以下Vsc)の普及に伴い更に多様な携帯超音波装置の開発が望まれるようになった.今回コニカ社からSonimage:P-3(以下,P3)が発売されたのはそのような流れに沿うものと思われる.今回我々は,P3を長期使用する機会を得たので,下記の方法で先行するVscとの比較を中心に報告する.
【装置の概要の比較】
Vsc: 135mm(縦),73mm(横),25mm(厚),390g(プローブも含め全体で),P3: 115mm(縦),68mm(横),392g,と形状に関しては両者はほぼ同様であった.Vscは,a)周波数:1.7〜3.8MHz,b)一点固定medium focus,c)セクタープローブ(phazed array)1本のみ,で焦点は常に視野の中心に固定.P3は,a)周波数:3〜5MHz,b)8点受信focus,c)セクタープローブ(annular type, mechanixal scan)1本のみで取り外し交換不能,d)frame rateは8/sec.周波数に関してはプローブ先端部が取り外し可能で3MHz素子に変更可能.Vscはカラードプラ機能を有しているがP3にこの機能はない.この様にプローブのつくりに関しては両者は大きく異なっていた.なお,記録媒体は,Vsc,P3ともにmicroSDで静止画,動画(2秒)収録可能である.モニター部は両者とも小型液晶で大きな差異はないが,Vscはプローブと直結し取り外し不能,P3は取り外し可能でプローブ部のUSB端子から市販のPCに接続可能である.
【診断能の比較】
下記の症例を対象にVsc,P3で病変を観察し両者のひろいあげ診断能を比較した(今回は便宜上使用法が安定しているVscで描出された病変を基準とした).
【対象症例の内訳】
a)肝のう胞(10例(径:1-3cm,平均2.2cm)),肝腫瘍(7例(径:1.5-7cm,平均3.2cm)(HCC:2例,転移:2例,血管腫;3),胆嚢結石(18例,径:0.5-2cm,平均:11mm),膵癌(3例,3,5,6cm),腹水(7例,良性3,悪性4)(少量2,多量5),である.
【結果】
P3のひろいあげ能は,肝のう胞8/10,肝腫瘍6/7,胆嚢結石18/18,膵癌3/3,腹水6/7,でひろいあげ不能病変は1cmのもので腹水も少量例であった.その原因としてはframe rateが8/secと遅く患者の呼吸や胎動に十分ついていけないため,と思われた.なお,画質に関してはP3のそれはVscに比して硬かった.
【まとめと考察】
口演者は,手のひらに“科学の目”を,という考えで,これまで,携帯超音波装置(Vsc)に関する報告をしてきた.携帯可能な画像診断装置は超音波しかないことを考えると,携帯超音波装置の普及は学会にとっても大きな意味を有する.今回は新しく市販されたP3に関し初期経験をまとめたが現時点でもある程度の診断能を有していることが分かった.今回の比較検討で,P3の問題点としては,frame rateが8/sec程度と遅く,この点は今後改善すべきと思われた.P3の長所としてモニターが可変でいかなるモバイルにも対応可能である,プローブ先端が交換可能,などが挙げられる.この様な長所を参考に今後各社が多様な携帯超音波装置を開発することが望まれる.