Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
肝臓4

(S577)

肝組織脂肪化におけるBモード像の再検討

Comparison of fatty liver findings in B-mode image and liver tissue steatosis classification of NAFLD Activity Score(NAS)

伝法 秀幸1, 斎藤 聡2, 窪田 幸一1, 宇賀神 陽子1, 竹内 和男3

Hideyuki DENPO1, Satoshi SAITOH2, Koichi KUBOTA1, Yoko UGAJIN1, Kazuo TAKEUCHI3

1虎の門病院分院臨床検査部, 2虎の門病院肝臓センター, 3虎の門病院消化器内科

1Department of Clinical Laboratory, Toranomon Hospital kajigaya, 2Department of Hepatology, Toranomon Hospital, 3Department of Gastroenterology, Toranomon Hospital

キーワード :

【目的】
従来,脂肪肝は組織学的には30%以上の脂肪化,Bモード像では,Bright liver,肝腎コントラストの上昇,深部減衰の増強,脈管不明瞭化の4所見が診断の根拠とされていた.しかしながら,penetration優先の超音波診断装置の開発により上記4所見が脂肪肝であってもそろわなくなり,一方,近年提唱されたNAFLD Activity Score(NAS) では,肝組織脂肪化をS0(<5%),S1(5%〜33%),S2(>33%〜66%),S3(>66%)に分類している.特にS1では従来の脂肪肝である“肝組織の30%以上の脂肪化”よりも少ない割合となっている.そこでBモード像における脂肪化所見に関して,NASの肝組織脂肪化分類での比較検討を行った.
【対象と方法】
当院にて肝組織診断および腹部超音波検査を施行した68例.年齢29〜82歳(中央値55歳),男女比39:29,BMI16.5〜34.1(中央値23.6).内訳はB型肝炎14例,C型肝炎13例,脂肪肝および脂肪肝炎13例,肝腫瘍11例,非B非C型肝炎11例,その他6例.肝線維化がF3以上の症例,慢性腎不全の症例は除外した.使用機器は東芝社製Aplio XG,コンベックスプローブPVT-375BTを使用した.今回の検討では,BモードにてBright Liverと肝腎コントラストを認めるものを脂肪肝所見あり とした.また,それらの所見が軽微であるものに関しては,Focal fatty spared areaを認めるものを脂肪肝所見ありとした.なお今回の検討では,検者を日本超音波医学会認定の超音波指導医1名と消化器領域超音波検査士3名に限定して行った.検討項目は,①組織脂肪化の有無とBモード像の脂肪肝所見比較,②NASの組織脂肪化分類における脂肪肝診断比較,③NASの組織脂肪化分類におけるBモードの各脂肪肝所見の有無,④従来の脂肪肝である組織脂肪化“30%”以下の症例におけるBモード像の脂肪肝所見を比較検討した.
【結果】
68症例の組織脂肪化(%)は0%〜75%(中央値5%),S0:34例(50%),S1:22例(32%),S2:6例(9%),S3:6例(9%)であった.①組織脂肪化の有無とBモード像の脂肪肝所見比較,脂肪肝なし(S0)と組織脂肪化あり(S1〜S3)を比較すると,S0の症例(34例)ではBモードで脂肪肝所見を認める例は無かった.S1〜S3の症例(34例)では24例(71%)にBモードで脂肪肝所見を認めた.②NASの脂肪化分類におけるBモード像の脂肪肝診断比較.S1〜S3の各群においてBモードでの脂肪肝所見の有無を比較した.S1:13例(59%),S2:6例(100%),S3:6例(100%)にBモードで脂肪肝所見を認めた.③NASの組織脂肪化分類におけるBモードの各脂肪肝所見の有無.S1〜S3においてBモードの各脂肪肝所見,Bright Liver/肝腎コントラスト/深部減衰の増強/脈管不明瞭化/Focal fatty spared area,を認めたのはそれぞれ,S1:22例中,13例(59%)/13例(59%)/なし(0%)/なし(0%)/6例(27%).S2:6例中,6例(100%)/6例(100%)/3例(50%)/3例(50%)/4例(66%).S3:6例中,6例(100%)/6例(100%)/5例(83%)/4例(67%)/5例(83%) であった.④組織脂肪化30%以下(≒S1)症例をさらに5〜10%,11〜20%,21〜30%に分類し,Bモード脂肪肝所見の有無と比較した.5〜10%(12例)では4例(33%),11〜20%(6例)では5例(83%),21〜30%(4例)では4例(100%)にBモードで脂肪肝所見を認めた.5〜10%で脂肪肝所見を認めた4例中3例(75%)は,まだら脂肪肝であった.
【まとめ】
組織脂肪化が進むにつれBモードでの各脂肪肝所見は認められた.また従来の脂肪肝である30%以下でも10%程度の組織脂肪化からBモードでは脂肪肝として認識可能であった.