Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
肝臓4

(S576)

心拍動による肝臓のDeformationに関する検討

Consideration on the liver deformation induced by heart beat

川江 宗太郎1, 神山 直久1, 見山 広二1, 谷川 俊一郎1, 飯島 尋子2

Sotaro KAWAE1, Naohisa KAMIYAMA1, Koji MIYAMA1, Shunichiro TANIGAWA1, Hiroko IIJIMA2

1GEヘルスケア・ジャパン株式会社超音波製品開発部, 2兵庫医科大学内科肝胆膵科

1Ultrasound General Imaging Japan, GE Healthcare Japan Corporation, 2Department of Internal Medicine, Hyogo College of Medicine

キーワード :

【はじめに】
肝線維化の非観血的な診断法として超音波エラストグラフィーが提案されている.我々は,エラストグラフィーにて,心拍動によって肝臓に生じる歪みの可視化に適したS-Mapを提案し製品化した[1].しかし,心拍によって肝臓が微視的/巨視的にどのように変形しているのか未解明な部分も多い.そこで,心拍動で生じる肝臓の大局的な歪み(Deformation)を可視化する手法について検討し,線維化ステージの代表的な症例に対して解析を試みた.
【手法】
使用装置はLOGIQ S8,プローブはC1-5(凸型,3.5 MHz).対象は,健常および肝疾患(線維化stage F0-F4)の肝臓.右肋間走査により肝臓と心臓の一部を同一断面に描出し約3心拍のB-modeをraw dataで取得した.超音波検査と同日に経皮肝生検を施行している.
Deformationの解析は,B-mode像の肝臓実質部を約5〜20mmの格子状の小領域に分割し,Lucas-Kanade法によりフレーム間の平均移動量を小領域ごとに計測した.表現方法としては,オプティカルフロー(OF)として知られるベクトル表示(図1),もしくは方向を色相,移動量を彩度に対応させたマッピングを試行した.
また,平行移動と回転移動の影響を排除するため,肝臓中心部に監視領域を設けて動き補正を行い,これらの成分を除去した後に解析も行った.解析結果は1心周期分の動画像として表し,いくつかの特徴量については,その軌跡をグラフで表現した.なお今回,心電図は使用しておらず,心臓の画像認識により心周期を推定した.
【結果】
OF画像を見ると,心拍動により肝臓は比較的複雑な動きを呈することがわかる.心臓の上部領域は比較的安定して心臓と垂直方向に変位しており,エラストの関心領域を設定するのには適していることが示唆された.線維化stageの進行例では,移動方向のばらつきは小さくなり,硬変により変形が小さくなったことが読み取れる.色相マッピングによる表現法では,色づきがモザイク状か比較的均一かによって傾向付けできたが,定量評価までは至らなかった.
移動ベクトルのX-Y座標表示(図2)では,早期の線維化stageではベクトルの方向にばらつきが大きく,線維化進行例ではより直線状に往復運動する様子が確認できた.今後これらの特徴量についてより有効なパラメータ化を進める予定である.
【文献】
[1]M Ogawa et.al, Japan J Med U Vol.39 Suppl. S432(2012)