Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
3D2

(S574)

肝癌の診断および治療におけるVolume Navigationを用いたFusion imagingの有用性

Usefulness of Fusion imaging using Volume Navigation in diagnosis and treatment of hepatocellular carcinoma

乙部 克彦1, 高橋 健一1, 辻 望1, 安田 慈1, 今吉 由美1, 川地 俊明1, 熊田 卓2, 豊田 秀徳2, 多田 俊史2, 金森 明2

Katsuhiko OTOBE1, Kenichi TAKAHASHI1, Nozomi TSUJI1, Shigeru YASUDA1, Yumi IMAYOSHI1, Toshiaki KAWACHI1, Takashi KUMADA2, Hidenori TOYODA2, Toshifumi TADA2, Akira KANAMORI2

1大垣市民病院診療検査科, 2大垣市民病院消化器内科

1Department of Clinical Research, Ogaki Municipal Hospital, 2Department of Gastroenterology, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【はじめに】
超音波装置を用いた肝癌の局所療法であるラジオ波凝固療法(Radiofrequency ablation:RFA)や経皮的エタノール注入療法(Percutaneous ethanol injection theraphy:PEIT)は広く普及している.当院では,肝癌治療前に全症例に対して造影超音波検査を施行し,B-mode下または造影下にて局所療法が可能かどうかを評価しているが,CT(Computed Tomography)検査やMRI(Magnetic Resonance Imaging)検査で指摘されている病変が超音波検査で同定できないことをしばしば経験する.その原因として,存在位置(横隔膜下や消化管ガスによる影響),深部減衰,肝実質が不均一で同定困難,過去の治療部の混在などが挙げられる.そのような症例に対し最近では,CTやMRI画像とfusionさせることで認識が可能となっている.今回我々は,GEヘルスケア・ジャパン社製のLOGIQ E9 with Xdclearに搭載されたVolume Navigationを用い,肝癌診断および治療支援としての有用性を報告する.
【対象】
対象は,2013年10月から11月までの2ヶ月間に肝腫瘤の診断および治療効果判定に造影エコー検査がなされた72症例中,評価対象結節が3ケ以下でVolume Navigationを用いた8症例14結節,またRFAおよびPEITが施行された34症例中10例11結節の計18症例25結節(造影エコー検査と局所療法との重複例6例)である.男性13例,女性5例,平均年齢70歳(59〜80歳),平均腫瘍径17mm(9〜32mm)である.
【方法】
造影エコー検査時に,CT,MRI検査で指摘されている結節が通常のB-mode観察では描出できない場合,また描出は可能であるが確信が得られない場合にVolume Navigationを用いCT,MRI画像とfusionさせ腫瘤の同定を行いソナゾイドによる造影検査を行った.RFAおよびPEITによる局所療法の際も同様に行った.
【結果】
Volume Navigationを用いた18症例25結節中,16症例23結節はB-modeで腫瘤の同定が可能であった.また2症例2結節は,B-modeでは不明瞭であったが,ソナゾイドを用いることで同定可能となった.
【まとめ】
Volume Navigationを用いることで全症例が,腫瘤の質的診断および治療効果判定が可能であった.またRFA,PEITの局所療法も全症例可能であった.
【考察】
最近のCT,MRIの画像検査の進歩に伴い小さな肝腫瘤が検出されるようになってきた.特に肝細胞癌ではその背景に肝硬変を伴っていることが多く,超音波検査での小さな腫瘤の同定に難渋する場合がある.また他検査で腫瘤が検出されても超音波で腫瘤が同定できなければRFAやPEITの局所療法を行うことは不可能に近い.このような場合にVolume Navigationによるfusionは極めて有用であり,肝癌の治療精度を向上させるためには必須の技術と考える.