岩井 孝仁^{1, 2}, 西田 睦^{1, 2}, 高木 一也³, 近藤 敏志³, 佐藤 恵美^{2, 4}, 工藤 悠輔^{1, 2}, 中馬 誠⁵, 横尾 英樹⁶, 神山 俊哉⁶, 清水 力¹

Takahito IWAI^{1, 2}, Mutsumi NISHIDA^{1, 2}, Kazuya TAKAGI³, Satoshi KONDOH³, Megumi SATOH^{2, 4}, Yuusuke KUDOH^{1, 2}, Makoto CHUMA⁵, Hideki YOKOO⁶, Toshiya KAMIYAMA⁶, Chikara SHIMIZU¹

¹北海道大学病院検査・輸血部, ²北海道大学病院超音波センター, ³パナソニックヘルスケア株式会社R&Dセンター, ⁴北海道大学病院放射線部, ⁵北海道大学病院消化器内科, ⁶北海道大学病院消化器外科Ⅰ

¹Division of Laboratory and Transfusion Medicine, Hokkaido University Hospital, ²Diagnostic Center for Sonography, Hokkaido University Hospital, ³R&D Center, Panasonic Healthcare Co., Ltd., ⁴Department of Radiology, Hokkaido University Hospital, ⁵Department of Gastroenterology and Hematology, Hokkaido University Hospital, ⁶Department of Gastroenterological SurgeryⅠ, Hokkaido University Hospital

キーワード :

【目的】
造影超音波検査（CE-US）のコンピュータ支援診断ソフトの性能評価として，肝腫瘤性結節の鑑別性能評価を行なった．
【対象】
解析可能なCE-US動画像が取得され，病理組織学的または臨床画像で確定診断された肝腫瘤性病変63例63結節（肝細胞癌（HCC）28結節，転移性肝腫瘍（Meta）15結節，肝血管腫（Hema）20結節）．
【方法】
装置は東芝社製Aplio XG 500，鑑別診断は造影超音波画像解析ソフト「Ceusia HP（セシアHP）」を用いた．CE-US動画像を読み込み，腫瘤と周辺肝実質にRegion of Interest（ROI）をマニュアルで設定．Time Intensity Curve（TIC）作成後，造影開始時間検出と特徴量算出を行い，良悪性結節鑑別診断および悪性結節分類を行った．鑑別に用いた特徴量を表1に示す．フィッティング係数は，図1のモデル関数の係数B，Cを用いた．周囲差の変化率は動脈相における腫瘤と周辺肝実質との輝度差の平均変化率（dB/秒），リング度の変化率は動脈相における腫瘤辺縁と腫瘤中心部との輝度差の平均変化率（dB/秒）．血管画像のリング度は，Micro Flow Imaging（MFI）における腫瘤辺縁と腫瘤中心部との輝度差のArea Under the Curve（AUC）（dB）を用いた．
【結果・考察】
TICから自動的に適切な造影開始時間を検出できたのは62結節（98％）．検出困難1結節は手動で設定した．悪性結節診断は，真陽性39結節，偽陽性4結節，真陰性18結節，偽陰性2結節であった．正診率90％（57/63），感度95％（39/41），特異度82％（18/22），悪性的中率91％（39/43），良性的中率90％（18/20）であった．悪性結節分類は，HCC陽性24結節，偽陽性4結節，真陰性14結節，偽陰性1結節であった．正診率88％（38/43），感度96％（24/25），特異度78％（14/18），HCC的中率86％（24/28），Meta的中率93％（14/15）であった．造影開始時間自動検出困難例は，息止めのタイミングが遅かった例で，造影開始時間をマニュアルで設定した．誤診例は，良悪性鑑別診断では早期に造影されるHema 2例，造影効果が弱い脂肪化を伴った高分化HCC 1例，化学療法中のMeta 2例，中心部壊死を伴った10cm以上のMeta 1例，悪性結節分類では血管相で強く造影されるMeta 4例，10cm以上の中心部に壊死を伴ったHCC 1例で，全例結節の典型像ではなかった．非典型例の学習データを増やすこと，特徴量を増やすことで今後の改善が期待される．
【結論】
肝腫瘤性病変に対するコンピュータ支援診断ソフトの性能は概ね良好であった．