Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
造影超音波検査1

(S567)

ミリプラチンを用いた肝動脈塞栓療法における造影超音波検査の治療効果判定の注意点

The notes of the curative effect judging using the contrast enhanced ultrasonography in the transarterial embolization using Miriplatin

高安 賢太郎, 小川 眞広, 三浦 隆生, 塩澤 克彦, 阿部 真久, 竜崎 仁美, 松本 直樹, 中河原 浩史, 山本 敏樹, 森山 光彦

Kentaro TAKAYASU, Masahiro OGAWA, Takao MIURA, Katsuhiko SHIOZAWA, Masahisa ABE, Hitomi RYUZAKI, Naoki MATSUMOTO, Hiroshi NAKAGAWARA, Toshiki YAMAMOTO, Mitsuhiko MORIYAMA

駿河台日本大学病院消化器肝臓内科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Surugadai Nihon University Hospital

キーワード :

【目的】
肝細胞癌に対する肝動脈塞栓療法の治療薬に白金系抗腫瘍薬ミリプラチンがある.本薬剤は,他の薬剤と比較し,徐放効果があるといわれており約1ヶ月においても微量な薬剤の放出がある事が確認されている薬剤である.これまでの薬剤では治療後の効果判定において不十分と判断された症例はその後早期に増大していたがミリプラチンを用いた場合局所的な変化がこれまでとは異なり長く不変の症例を経験しており今回従来の抗腫瘍薬を使用した際とは異なる特徴があると考え報告する.
【方法】
対象は当施設で2013年1月から12月までに肝動脈塞栓療法(B-TACEを含む)を行った肝細胞癌153例である.肝動脈塞栓療法を施行した直後・1か月後(短期治療成績)・3〜6か月後(中期治療成績)にsonazoid0.5mlを用いて造影超音波検査を行った.同時期に行ったCT検査と併用し,原発性肝がん取扱い規約第5版における治療効果判定基準-直接効果判定に準じて治療効果判定を行った.使用装置はGEヘルスケア社製LOGIQ E9,7探触子はC1-5,9Lである.
【成績】
ミリプラチンを用いて,B-TACEを含む肝動脈塞栓療法を行った症例では,ミリプラチン以外を用いた症例と比較して良好な治療成績が得られた.ミリプラチンを用いた症例において短期治療成績ではTE4以外であった症例でも,中期治療成績ではTE4を得た症例や,長い間治療成績が低下せずに治療効果部分を維持した症例がみられた.
【考察】
従来肝動脈塞栓療法に対する治療効果判定においては,リピオドールの影響を受けない点,血流感度が高い点において造影超音波検査の有用性がいわれている.今回使用薬剤のミリプラチンにおいては,薬剤の徐放効果の影響により肝動脈塞栓療法が不十分な結節においても比較的長期間にわたり同結節の状態が不変症例を経験した.現代の治療体系の中において肝動脈塞栓療法の適応症例は,多発症例が多く将来的な治療計画を立てる上で重要な項目と考えられ報告した.