Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
造影超音波検査1

(S567)

ラジオ波焼灼療法(RFA)における造影超音波肝実質micro bubble(MB)崩壊距離の有用性

Usefulness of the micro bubble collapse distance by the contrast enhanced ultrasonography

池原 孝, 松清 靖, 松井 哲平, 佐藤 綾, 塩澤 一恵, 和久井 紀貴, 渡邉 学, 五十嵐 良典, 住野 泰清

Takashi IKEHARA, Yasushi MATSUKIYO, Teppei MATSUI, Aya SATO, Kazue SHIOZAWA, Noritaka WAKUI, Manabu WATANABE, Yoshinori IGARASHI, Yasukiyo SUMINO

東邦大学医療センター大森病院消化器内科

Gastroenterology and Hepatology, Toho Univercity Omori Medical Center

キーワード :

【目的】
肝細胞癌(HCC)のRFA焼灼範囲は,同じ電極針や焼灼方法でも症例によってばらつきがあり,予想より狭くなり腫瘍遺残や局所再発することがある.造影超音波後血管相で高音圧beamを照射して測定された肝実質MB崩壊距離と焼灼範囲・背景肝機能・線維化との関係についてRFA device,焼灼方法などの条件ともあわせて検討し,焼灼範囲の予測などMB崩壊距離測定の有用性を明らかにする.
【対象】
電極針1回穿刺でRFAされたHCC90例102病変.Child-Pugh A/B:66/24例,HCV/HBV/Alcohol/NASH/AIH:69/13/4/2/2例,腫瘍径14±3mm.
【方法】
RFA前にSonazoid 0.015ml/kg静注し超音波装置Aplio XG(東芝)を用いてpulse subtraction harmonic imaging modeで造影後血管相での肝右葉実質を観察.Flash-replenishment sequence(mechanical index1.6,beam送信数30回)でMBを崩壊し肝表面から崩壊最深部の距離を測定.RFA装置はCool-tip RF system(Coviden)を用い,全対象のうちHCC59例67病変(Child-Pugh A/B:42/17例,HCV/HBV/Alcohol/AIH:49/8/2/2例,腫瘍径14±2mm)はCool-tip2cm針1回穿刺低出力RFA(impedance control mode,設定出力40Wで開始,10W/min step up通電,最大60W),HCC31例35病変(Child-Pugh A/B:24/7例,HCV/HBV/Alcohol/NASH/AIH:20/5/3/2/1例,腫瘍径17±4mm)はCool-tip3cm針1回穿刺高出力RFA(impedance control mode,設定出力60Wで開始,10W/min step up通電,最大100W)で治療された.MB崩壊距離とRFA前の肝機能(Bil・Alb・PT)・線維化マーカー(Ⅳ型コラーゲン7S・P-Ⅲ-P・ヒアルロン酸・血小板)・RFA7日後のCT画像から算出された焼灼体積とを比較検討した.
【結果】
全対象にてMB崩壊距離はBil・Alb・PT・Ⅳ型コラーゲン7S・P-Ⅲ-P・ヒアルロン酸・血小板いずれにおいても有意な相関(p<0.01)が認められた.また,低出力RFAではMB崩壊距離と焼灼体積に有意な負の相関(p=0.00129)があり,MB崩壊距離が深くなるに従い焼灼体積は小さくなったが,高出力RFAでは相関が認められなかった.
【考察】
慢性肝疾患進行に伴う肝内血管床減少により肝実質内灌流血液の多寡が個々のMBの差異を規定し,MB崩壊距離が長く肝実質MBが少ない場合灌流血液が少なく熱を加えると乾燥しやすくimpedanceが早々に上昇してしまうため焼灼範囲が狭くなる.また,高出力RFAでは,低出力に比べて灌流血液の影響を受けにくいため,MB崩壊距離と焼灼体積の関係性が乏しいと推察される.
【結語】
MB崩壊距離測定により,RFA前HCC症例の肝機能・線維化評価,低出力RFAでの焼灼範囲予測が可能であり,治療前にRFA deviceや焼灼方法の選択などの目安となり治療支援として有用な検査法と考えられる.