Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
膵臓1

(S549)

造影超音波検査と造影CT・MRI検査の結果に相違のあった膵腫瘍の2症例

Two patients with pancreatic tumor,its hemodynamics is difference contrast CT or MRI and contrast US

佐々木 崇1, 平賀 真雄1, 中村 克也1, 坂口 右己1, 林 尚美1, 大久保 友紀1, 塩屋 晋吾1, 川村 健人1, 重田 浩一朗2

Takashi SASAKI1, Masao HIRAGA1, Katsuya NAKAMURA1, Yuuki SAKAGUCHI1, Naomi HAYASHI1, Yuki OOKUBO1, Shingo SHIOYA1, Kento KAWAMURA1, Kouichirou SHIGETA2

1霧島市立医師会医療センター超音波検査室, 2霧島市立医師会医療センター消化器内科

1Department of Ultrasound, Kirishima Medical Center, 2Department of Gastroenterology, Kirishima Medical Center

キーワード :

【目的】
造影検査では腫瘤の血行動態や血流状態を把握し,病変の存在診断や良悪性の鑑別診断を行う検査である.通常は各モダリティで類似した造影所見を呈するが,今回造影CT・MRI検査と造影超音波検査において異なった造影所見となった膵腫瘤を2例経験したので報告する.
【症例】
症例1は77歳男性,平成23年3月心窩部痛を認め近医受診し,腹部CT検査にて膵臓に腫瘍性病変を認め当院紹介となった.腹部には特記所見はなく来院時自覚症状はなかった.当院での腹部造影CTでは膵頭部門脈近傍に早期相より著明に造影される13mmの類円形の境界明瞭な腫瘤を認めた.MRIではT1・T2強調ともに低信号で造影効果があり拡散強調画像にて軽度の拡散能低下を呈した.いずれの画像診断でも膵原発のneuroendocrine tumor(PNET)の診断であった.ソナゾイドによる造影超音波検査では染影は正常膵部と同程度でありCTやMRIとは全く異なる染影動態であった.
症例2は68歳女性,検診にて膵尾部に腫瘤を指摘され当院に紹介となった.当院での腹部造影CTでは膵尾部に早期相より造影される10mmの類円形の境界明瞭な腫瘤を認めた.MRIではT1強調で低信号,T2強調では淡い高信号で拡散強調画像では著名な拡散能低下を認めた.いずれも膵内副脾の診断であった.超音波検査では膵尾部に10×12mm境界明瞭な低エコー腫瘤を認めた.ソナゾイド造影超音波では造影剤注入10秒より周囲膵実質の濃染を認め,その後腫瘍部分が中心部より濃染し,その15秒後には膵実質と同等の染影となった.造影超音波では膵実質より腫瘤部の輝度が高くなることはなく膵内副脾とは断定できなかった.
【結論】
ソナゾイド造影剤は造影する際造影剤が血管外へ漏出することなく造影されるのに対し,造影CT・MRIは造影剤が間質内へ染みだし造影されることより,それぞれの造影機序により造影結果の違いをもたらしたのではないかと考えられが,症例の蓄積も重要であると考え報告した.