英文誌(2004-)
一般口演 消化器
血流診断1
(S541)
High frame rate超音波造影法の有用性-従来法(AM法)との比較
High frame contrast-enhanced US: preliminary experience
大山 葉子1, 石田 秀明2, 長沼 裕子3, 三浦 百子1, 高橋 律子1, 草皆 千春1, 星野 孝男4, 渡部 多佳子2, 大野 長行5
Youko OHYAMA1, Hideaki ISHIDA2, Hiroko NAGANUMA3, Momoko MIURA1, Ritsuko TAKAHASHI1, Chiharu KUSAKAI1, Takao HOSHINO4, Takako WATAANBE2, Nagayuki OHNO5
1秋田組合総合病院臨床検査科, 2秋田赤十字病院超音波センター, 3市立横手病院消化器科, 4秋田組合総合病院消化器科, 5GEヘルスケア超音波担当
1Department of Medical Laboratoly, Akita Kumiai General Hospiral, 2Department of Center of Ultrasound, Akita Redcross Hospital, 3Department of Internal Medicine, Yokote Municipal Hospital, 4Department of Gastroenterogy, Akita Kumiai General Hospital, 5Department of Ultrasound, GE Helthcare Japan
キーワード :
【はじめに】
現在造影超音波法は肝の画像診断に不可欠なものになった.肝腫瘍の造影超音波所見を読影する際最も重要な点として早期血管相での“染まり”のパターンがある.この点に関して以前から現在の10数回/秒というframe rateで十分か?という疑問があった.今回我々は従来の2〜6倍のframe rateであるHigh frame rate超音波造影法(HFR造影法)で肝腫瘍を観察し若干の知見を得たので報告する.
【使用装置】
GE社製LOGIQ E9
【原理】
今回のHFR造影方は,基本的にはframe rateを向上させるために走査線密度を下げ,画角を絞る方式をとっており,技術的な制約により,基本的には通常のtissue harminic Bmode法でMI値を0.2程度まで下げたものを用いた.
【造影剤】
ソナゾイド(第一三共社)
【造影法】
通常の肝腫瘍の造影方法に準じた.
【対象】
肝腫瘍28例(肝細胞癌7例,血管腫12例,転移性肝癌4例)
【方法】
まず病変をBモードで十分観察し,次いで,a)通常の(frame rate約12/秒)Amplitude modulation法の造影,そしてb)HFR造影法で病変の観察を行ない,従来法(Amplitude modulataion法)とHFR造影法の所見を比較した.
【結果】
1)HFR造影法が診断に有用な“染まり”の状態を詳細に表示していたのは28例中22例(78.6%),従来法と著明な差を認めなかったのは3例(10.7%),従来法の方が有用な“染まり”の状態を表したのは3例(10.7%)であった.
2)周囲肝と腫瘍の血流比(vascularity)に関しては両法で判定に差異は無かった.3)心近傍の2例では従来法で見られなかった“くも状エコー”がHFR造影法で出現した.
【まとめ】
未だ不安定な技術を試行錯誤している状態の初期経験をまとめたものに過ぎないが,この時点ですでにHFR造影法の時間分解能の良さがもたらす診断能向上は極めて大きな意味を持つと思われる.造影超音波検査の際の空間分解能は基本的にはBモードのそれと同等であるため,細部の観察が可能となっている.しかし,この空間分解能を維持するため時間分解能がかなり犠牲にされ10数回/秒のframe rate程度にとどまっていた.このため動脈の速い流れを十分とらえるには無理があった.特に,早期血管相が造影超音波診断の根幹をなすことはよく知られており,従来の造影超音波画像の画質を若干低下させても早い動きをとらえるHRF造影法には十分存在理由があると考えられる.初期経験に過ぎない現時点でも,HFR造影法は肝腫瘍の血行動態を観察するには有用と思われた.今後,どの程度のframe rateが適当か更に検討を重ねていきたいと思う.