Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
症例報告・バルサルバ洞動脈瘤/冠動静脈瘻

(S536)

II型心室中隔欠損症の診断40年後に発症したバルサルバ洞動脈瘤破裂の一例

A case of ruptured sinus of Valsalva aneurysm after 40 years diagnosis with type II ventricular septal defect

網屋 俊1, 福岡 嘉弘1, 松本 洋之1, 青崎 眞一郎1, 神之田 一馬1, 小園 明彦1, 東福 勝徳2, 塗木 徳人2

Shun AMIYA1, Yoshihiro FUKUOKA1, Hiroyuki MATSUMOTO1, Shinichiro AOZAKI1, Kazuma KAMINODA1, Akihiko KOZONO1, Katsunori TOFUKU2, Norihito NURUKI2

1済生会川内病院内科, 2鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学

1Division of Internal medicine, Saiseikai Sendai Hospital, 2Department of Digestive and Life-Style Related Diseases, Kagoshima University Graduate School of Medical and Dental Sciences

キーワード :

症例40歳男性.主訴,動悸.既往歴,特記なし.現病歴,1歳時にVSDの診断を受けた.6歳時に心臓カテーテル検査で,手術不要と診断された.小学生まで経過観察されるも,中断.
H18年(33歳),他院で心エコー,KirklinのII型VSD.Dd58,Ds39mm.バルサルバ洞動脈瘤の記載なし.
H25年3月頃から,労作時,安静時に30秒程度の動悸を自覚しはじめ,H25年8月,当科受診された.
現症,身長173cm,体重70kg.血圧112/52mmHg,脈拍90/分,整.胸骨左縁第3肋間を最強点とするLevineVの連続性心雑音を聴取した.CXPはCTR47(H23)→49%で徐々に拡大傾向,肺血管影増強あり,ECGはHR81のSR,ST変化なし.
心エコー,Dd63mm,Ds44mm,EF59.6%.左室,左房の拡大あり.大動脈弁の右冠尖の右側にValsalva洞瘤9mm,先端が破裂し,右室へ穿孔していた,明らかな疣贅なし.11時方向へモザイク血流が吹いており,今野のIIIV型と診断した.モザイク血流が激しく,II型VSDの有無は判定できず.Arなし.AAEなし.静脈血培は陰性.心臓カテーテル検査では,LV-RV shunt flowは,はっきりせず.右冠尖由来の瘤あり,Ao-RV shunt flowあり.Qp/Qs=3.0,LRshunt=68%.シャント量が多く,早めの手術とした.
手術,大動脈弁は三尖で,右冠尖中央にrapheのような石灰化があり,その無冠尖寄りに径15mm大の動脈瘤があり,先端は大きく開いていた.その下方にVSDを認め,muscular outlet type(女子医II型)で,径3-4mm大でslit状であった.バルサルバ動脈瘤切除およびパッチ閉鎖術,VSDパッチ閉鎖術を施行された.
考察,幼少時よりII型VSDを指摘され,40歳でバルサルバ洞破裂を起こした症例であった.バルサルバ洞破裂の50-60%にVSDを合併し,肺動脈弁下型(I型)が多い.本症例はII型でArもなかった.バルサルバ洞破裂の67-85%は右冠尖由来であり,多くがVSDを合併するとされ,先天的に脆弱であることが推測される.本症例は事前にVSDの情報があったが,術前にVSDの同定が困難であった.バルサルバ洞破裂の術中に,マスクされていたVSDが発見され,パッチ閉鎖を追加された報告もある.破裂の好発年齢は平均30歳前後であり,小児科医でなく循環器内科医が診る可能性が高い.循環器内科医も両者は合併しやすいことを十分念頭において心エコーやCTを行い,長期的視点で病歴,検査歴など情報の収集を行う必要がある.