Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
ストレイン/スペックルトラッキング2

(S534)

3次元スペックルトラッキング法による重症大動脈弁狭窄症の予後予測因子の検討

Prognostic value of 3D strain for predicting adverse outcome in severe aortic stenosis

永田 泰史, 竹内 正明, 林 篤志, 大谷 恭子, 福田 祥大, 芳谷 英俊, 尾辻 豊

Yasufumi NAGATA, Masaaki TAKEUCHI, Atsushi HAYASHI, Kyoko OTANI, Shota FUKUDA, Hidetoshi YOSHITANI, Yutaka OTUSJI

産業医科大学循環器内科・腎臓内科

The second Department of Internal Medicine, University of Occupational and Environmental Health

キーワード :

【背景】
重症の大動脈弁狭窄症(AS)の予後を予測することは臨床的に重要である.2次元スペックルトラッキング法により得られた長軸方向のストレイン値は予後予測に有用であることが報告されているが,3次元スペックルトラッキング法(3DSTE)による報告はない.
【目的】
3DSTEを用いて左室駆出率の保たれた重症AS患者において,3Dストレイン値を計測し,予後予測因子となり得るかを検討すること.
【対象と方法】
対象は左室駆出率50%以上の重症AS(大動脈弁口面積<0.6cm2/m2)108例(55-97歳,男性46名).3DTTEで心エコー指標を計測し,さらに3DSTEを用いて,global longitudinal strain(GLS),global circumferential strain(GCS),global radial strain(GRS)及びglobal 3D strainを測定した.各症例をフォローアップし,MACE(心臓死,心不全入院,心筋梗塞,脳卒中,大動脈弁置換術)発症の有無について調査した.
【結果(図参照)】
平均494日の観察期間中,44名にMACEを認めた.イベント発生群は非発生群に比べ,左室重量係数(138±39 vs. 119±29 g/m; p=0.0064),一回心拍出量係数(41.6±8.1 vs. 35.4±7.8; p=0.0002),平均圧較差(43.3±13.5 vs. 32.3±13.8 mmHg; p<0.0001)が有意に大きかった.GLSはイベント発生群で有意に障害されていた(-14.6±3.1 vs. -15.9±3.8; p=0.05).global 3D strain,GCS,GRSはイベント発生群で障害の程度が強い傾向にあったが,有意差は認めなかった.ROC解析より算出したGLSのcut-off値(-14%)を用いて,低GLS群(GLS>-14%),正常GLS群(GLS<-14%)に分け,Kaplan-Meier生存曲線で評価すると低GLS群で有意にMACEの発生率が高かった(X2=7.42,p=0.0062).
【結語】
本邦の左室駆出率の保たれた重症ASにおいて,3DSTEより計測したGLSは,MACE発生のリスク層別化に有用であると考えられた.