Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
ストレイン/スペックルトラッキング2

(S533)

2D WMTを用いた心筋動態評価:ロバストACTによる左室駆出率とstrainの再現性と精度

Accuracy and reproducibility of 2D Wall Motion Tracking by newly developed robust-ACT method

阿部 康彦1, 平山 よしみ1, 高野 真澄2

Yasuhiko ABE1, Yoshimi HIRAYAMA1, Masumi IWAI-TAKANO2

1東芝メディカルシステムズ超音波事業部, 2福島県立医科大学附属病院集中治療部

1Ultrasound Systems Division, Toshiba Medical Systems Corporation, 2Intensive Care Unit, Fukushima Medical University

キーワード :

【はじめに】
心エコーでは,近年Speckle Tracking(ST)法による心筋動態評価が盛んに行われている.ST法では初期時相で心内外膜の初期輪郭を設定し,1心周期に渡る輪郭の動きを自動的に追跡することで心筋ストレインや駆出率(EF)等の指標が得られる.ST法のアプリケーションである2D Wall Motion Tracking(2DWMT)では,マニュアルトレース(manual)とACT(Automated Contour Trace)による初期輪郭の設定が可能である.ここで,同じ画像データであっても初期輪郭位置が異なれば解析結果にはバラツキが生じる.ACTでは心尖像の両弁輪と心尖の3点をユーザーが指定することで輪郭が検出されるためにmanualより簡便だが,指定位置を通るように輪郭検出を行うために再現性は高くなかった.これを指定位置近傍で弁輪位置を自動探索し,得られた弁輪位置から輪郭検出を行うのがロバストACT(rACT)である.本法では結果の再現性向上が期待されるが,その程度や精度がどのようになるかは定かではない.
【目的】
2DWMTによる心筋動態の定量評価においてrACTの再現性と精度を検討すること.
【方法】
虚血性心疾患を有するあるいはその疑いのため,心エコー図検査を施行した33例を対象とした.心尖4腔像における2DWMTの解析結果を,エキスパートによるmanualとrACTで比較した.rACTでは3回試行して再現性を評価した.比較指標としてはピークGlobal Longitudinal Strain(GLS)とEFを用いた.EFはdisc法とvisual評価法による値とも比較した.
【結果】
(1)再現性:rACT 3試行間での一致係数はGLS,EF共に0.98で,変動係数はGLS=3.3%,EF=2.0%であった.(2)精度:1)GLS:manual(-13.8±4.2%)とrACT(-14.1±4.2%)に有意差は無く,r=0.96で相関した.2)EF:manual(50.1±10.4%)とrACT(50.2±10.3%)に有意差は無く,r=0.96で相関した.disc法(57.5±9.7%)と比較した場合,manualは有意(p<0.0001)に低くr=0.76で相関し,rACTは有意(p<0.0001)に低くr=0.74で相関し,またvisual(54.7±9.4%)は有意(p<0.001)に低くr=0.88で相関した.
【結語】
rACTによるGLS及びEFはエキスパートによるmanualの値に各々良好に一致した.EFはdisc法と比較して,manual・rACT共にvisualより若干精度が低いもののrACTの再現性は高い.また,rACTによるGLSも再現性は高い.rACTによる2DWMTの解析結果は,再現性が向上するだけでなく,manual同等の高い精度が簡便に得られるものと期待される.