Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
ストレイン/スペックルトラッキング2

(S533)

不整脈原性右室心筋症診断における右室ストレイン指標の有用性

Diagnostic Value of Right ventricular strain imaging in patients with suspected arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy

芳井 孝輔1, 大西 哲存2, 武田 祥子1, 米川 幸子1, 諸根 隆行1, 藤本 恵子1, 世良 博史1, 都留 正人1, 月城 泰栄2, 川合 宏哉2

Kosuke YOSHII1, Tetsuari ONISHI2, Syoko TAKEDA1, Sachiko YONEKAWA1, Takayuki MORONE1, Keiko FUJIMOTO1, Hiroshi SERA1, Masato TSURU1, Yasue TSUKISHIRO2, Hiroya KAWAI2

1兵庫県立姫路循環器病センター検査・放射線部, 2兵庫県立姫路循環器病センター循環器内科

1department of Laboratory and Radiology, Hyogo Brain and Heart Center, 2department of Cardiology, Hyogo Brain and Heart Center

キーワード :

【背景】
不整脈原性右室心筋症(ARVC)は右室起源の不整脈を特徴とし,突然死の原因となる難治性疾患である.その診断は6つの大項目と14の小項目からなる診断基準(ARVC Task Force Criteria)に基づいて行われる.
【目的】
ARVC患者に対して右室のストレイン指標を計測し,その診断的有用性を検討した.
【方法】
対象は正常対照(Control群:24例,男性17名,年齢42±11歳)および2009年6月から2013年11月までに当院にてARVCを疑われた(診断基準の大項目もしくは小項目を少なくとも一つ満たす)患者連続66症例(男性49人,年齢44±17歳)とした.全66症例中,37症例(ARVC群)が診断基準を満たし,29症例(NARVC群)が診断基準を満たさなかった.右室機能指標として,右室流出路径,右心Tei index,三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE),右室面積変化率(RVFAC)を評価した.2Dスペックルトラッキング法を用い右室ストレイン指標は,心尖部四腔像より右室6分画のストレイン曲線を描出し,全6分画の平均値である右室長軸ストレイン(GLS:global longitudinal strain)の最小値と,心電図のR波から各分画の最小ストレイン値に達するまでの時間をR-R間隔で補正した値の標準偏差(Ts-SD)を評価した.各指標につき全3群間の比較,AVRC群とNAVRC群の2群間比較,さらに66症例におけるAVRC予測に適した指標を検討するためROC曲線解析を行った.
【結果】
3群間比較において,右心Tei indexで各群間に有意差を認めなかったが,右室流出路径,TAPSE,RVFAC,GLS,Ts-SDで各群間に有意差を認めた(全てp<0.01).2群間比較では,GLSに関しARVC群(-12.7±5%)はNARVC群(-17.8±4%%)比し有意に小であり(p<0.001),NARVC群はControl群(-20.8±4.4%)に比し有意に小であった(p<0.001).Ts-SDに関しては,ARVC群(3.3±2%)はNARVC群(1.46±0.8%),Control群(1.42±0.7%)に比べて有意に大であり(ともにp<0.01),NARVC群とControl群の間には有意差を認めなかった.ROC曲線解析で各指標の曲線下面積(AUC)をみてみると,ストレイン指標であるGLS(AUC 0.78),Ts-SD(AUC 0.83)は右室機能指標である右室流出路径(AUC 0.67),TAPSE(AUC 0.73),RVFAC(AUC 0.74)よりも高いAUCが得られた.
【結論】
2Dスペックルトラッキング心エコー法による右室ストレイン指標は,ARVCの診断に対して有用であることが示唆された.