Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
ストレイン/スペックルトラッキング1

(S531)

超高齢の高血圧患者におけるPost-systolic strain indexによる心不全悪化の予測

Prediction of heart failure by post-systolic strain index in very eldery patients with hypertension

加藤 浩司1, 窪田 彰一1, 羽場 利博2, 大西 定司2, 道鎮 正規2, 東田 元2, 前川 直美2, 稲葉 聡2, 熊本 輝彦3, 山本 誠2

Hiroshi KATO1, Shoichi KUBOTA1, Toshihiro HABA2, Teiji OHNISHI2, Masaki DOHCHIN2, Gen TOHDA2, Naomi MAEKAWA2, Satoru INABA2, Teruhiko KUMAMOTO3, Makoto YAMAMOTO2

1福井厚生病院循環器科, 2福井厚生病院内科, 3福井厚生病院健診センター

1Cardiovascular Medicine, Fukui Kosei Hospital, 2Internal Medicine, Fukui Kosei Hospital, 3Kenshin Center, Fukui Kosei Hospital

キーワード :

【目的】
高血圧症患者において,心不全の発症は予後を規定する主要な因子である.ストレイン心エコーによるPost-systolic strain index(PSI)を用いて,超高齢の高血圧症患者が約2年間のフォローアップ期間内に心不全を生じるか否かを予測した.
【対象】
80歳以上の高血圧症患者61例(平均年齢84.6±3.8歳)
【方法】
2D-speckle tracking法を用いて,ストレイン心エコーの左室心尖部3方向(長軸像,2腔像,4腔像)から左室のlongitudinal strain curveを得た.大動脈弁閉鎖時のストレイン値(End S)と,1心拍周期における最大のストレイン値(Peak S)を自動的に計測し,左室17分画の各区域におけるPSI{=(Peak S - End S)/Peak S X 100(%)}を算出した.平均642±156日間のフォローアップ期間内で,新たに心不全を発症,もしくは悪化した群(A群)と,心不全を生じなかった群(B群)において,ベースラインの心エコーのデータを比較検討した.
【結果】
フォローアップ期間中に,9例(14.8%)の患者が心不全を発症した(A群).A群とB群の比較において,年齢,ベースラインの心係数,左室駆出率,左室拡張期容積係数に有意な差は認めなかった.一方,これらとは対照的に,A群では,B群と比較して,有意に大きな左室重量係数(160.7±80.0g/m2 vs. 127.3±28.3g/m2,p<0.05)と,PSIの悪化(51.0±32.3%vs. 30.2±19.1%,p<0.01)が認められた.カプランマイヤー生存曲線では,著明にPSIが悪化していた患者15例(カットオフ値PSI≧42%,ROC解析)では,そうでない患者46例よりも,有意に心不全を発症する割合が多かった(40.0%[6/15]vs. 6.5%[3/46],p<0.001).さらに,Cox比例ハザードモデルによる多変量解析では,すべての心エコーの計測値において,PSIが唯一の心不全発症の独立した規定因子であった.
【結論】
超高齢の高血圧患者において,PSIは心不全の発症に関する強力な予測因子である.